公開: 2026/4/20|更新: 2026/5/21
エンジニア採用ブランディング完全ガイド|選ばれる会社の作り方
エンジニア採用ブランディングを実務目線で解説。EVPから発信戦略、効果測定までを体系化します。
エンジニア採用ブランディング完全ガイド|選ばれる会社の作り方
エンジニア採用ブランディングとは:転職を意識する前に「選ばれる状態」を作る活動
エンジニア採用ブランディングとは、ターゲット人材が転職を意識する前から「この会社で働きたい」と感じる状態を意図的に設計する活動です。求人広告やスカウトだけでは届かないパッシブ層に、技術発信・文化発信・社員の声で日常的にリーチし、応募・選考前の段階で勝負を決めます。
筆者は採用コンサル営業出身の現役エンジニアで、これまでBizReach・Forkwell・Green・doda・Wantedlyなど13サービス以上のダイレクトリクルーティングを実務で運用してきました。その経験から言えるのは、スカウト返信率も内定承諾率も、「相手が自社をすでに知っているか」で2〜3倍変わるということです。ここに採用ブランディングの本質があります。
エンジニアは求人媒体より先に技術ブログ・GitHub・Xでの発信、カンファレンス登壇、勉強会での印象を判断材料にします。「採用活動を始める前にブランドが先に到着している」状態をつくることが、競合との差を生みます。
この記事でわかること:
ブランディングが不可欠な理由と期待効果
採用広報・採用マーケティングとの違い
EVP(従業員価値提案)の設計手順
3つの基本戦略(技術力・文化・社員の声)
4ステップフレームワークと12週間ロードマップ
業界・規模別の実践アプローチ
KPIと効果測定、よくある失敗と対策
採用ブランディングがエンジニア採用に不可欠な理由

エンジニア採用市場の構造的な難しさ
需要と供給のギャップ:経済産業省「IT人材需給に関する調査」によると、2030年にはIT人材の不足数が最大で約79万人に達すると予測されています。AIやDXの加速で需要はさらに伸びています。
パッシブ層が大多数:転職市場に出てくるエンジニアは全体のごく一部です。多くは「良い機会があれば検討する」というパッシブ層で、求人広告だけでは届きません。日常的に認知してもらう仕組みが必須です。
地理的制約の消失:リモートワークの普及で、競合は地域を超えて全国・海外まで広がりました。これまで競合と思っていなかった企業ともエンジニアを取り合うことになります。
AI時代に採用ブランディングの重要性が増す理由
生成AIやAIエージェントの台頭で、エンジニアに求められるスキルセットが急速に変化しています。Claude CodeやGitHub Copilotを使いこなし、AIと協働して開発できるエンジニアの需要が急増する一方、このスキルを持つ人材は限られています。
こうしたAI時代のエンジニア採用では、「自社がAI・先端技術にどう向き合っているか」の情報発信が採用ブランディングの中核テーマです。
AI活用の実態:開発現場でのAIツール導入状況や生産性向上の事例
技術投資の姿勢:最新技術への学習支援や実験的なプロジェクトの推進
パーパスの明確化:AIが進化する中で「なぜこの事業に取り組むのか」という存在意義
年収や福利厚生だけでは差別化が難しい局面で、パーパスへの共感が決め手になるケースが増えています。
エンジニアが企業選びで重視する要素
筆者が採用支援の現場で候補者と話してきた肌感として、特にシニア層・技術志向の強い人材は以下を重視します。
技術的な成長機会:新しい技術に触れられる環境か
エンジニアリング文化:技術的意思決定にエンジニアが関与できるか
チームの質:一緒に働くメンバーの技術レベルと人柄
事業の将来性とパーパス:プロダクトのビジョンに共感できるか
働き方の柔軟性:リモート、フレックス、副業の可否
情報の透明性:技術スタックや開発プロセスが外部から見えるか
これらは求人票だけでは伝わりません。日常的な発信を通じて「ブランド」として認知される必要があり、ここに採用ブランディングの本質があります。
採用ブランディングがもたらす具体的な効果
採用ブランディングに取り組むと、効果が段階的に現れます。
短期(1〜3ヶ月)
自社メディアへの流入増加、SNSでの認知拡大
スカウトメールの返信率向上(企業名を知っている候補者は返信率が明らかに高い)
リファラル採用の活性化
中期(3〜6ヶ月)
自然応募(オーガニック応募)の増加
応募者の質の向上(企業文化を理解した上で応募するためミスマッチが減る)
内定承諾率の改善
長期(6ヶ月〜1年以上)
採用単価の低減(広告・エージェント依存度の低下)
社員の自社推奨度(eNPS)向上による好循環
一度構築したブランドは資産として蓄積される点が、単発の求人広告とは決定的に異なります。
採用ブランディングと採用広報・採用マーケティングの違い
実務現場で混同されがちな3つの概念を整理します。役割を分けて運用すると、施策の重複や責任の曖昧さを避けられます。
概念 | 主な目的 | 主な担い手 | 代表的アウトプット |
採用ブランディング | 「働きたい会社」と認識される状態づくり | 人事・経営・CTO/VPoE | EVP・企業ストーリー・技術文化発信 |
採用広報 | 採用市場への継続的な情報発信 | 人事・広報・現場エンジニア | 技術ブログ・社員インタビュー・SNS |
採用マーケティング | 候補者を応募まで導く仕組み化 | 人事・採用担当 | カジュアル面談導線・ナーチャリング |
筆者の経験では、ブランディングが「土台」、広報が「日々の発信」、マーケティングが「応募・面談への接続」という階層構造で運用するのが効果的です。どれか1つだけに集中しても効果は限定的で、3層を同時に整備した企業ほど採用効率が高くなります。
採用ブランディングの土台:EVP(従業員価値提案)の設計
採用ブランディングを始める前に、「自社がエンジニアに提供できる価値は何か」を明確にする必要があります。これがEVP(Employee Value Proposition)です。
EVPはすべてのメッセージの基盤です。EVPが曖昧なまま発信を始めると、コンテンツに一貫性がなくなり、「何が魅力の会社なのかわからない」という印象を与えてしまいます。
EVP設計の4ステップ:
自社の強みの棚卸し:エンジニアにとって魅力的な要素を洗い出す(技術的挑戦、プロダクトの社会的意義、チーム文化、報酬、成長機会など)
競合との差別化ポイント特定:同じような人材を採用している競合と比較し、自社ならではの強みを絞り込む
現場エンジニアの声の反映:人事が想像する魅力と現場が感じる魅力にはギャップが多い。必ず現場エンジニアにヒアリングする
3つ以内のキーメッセージに集約:すべてを伝えようとすると何も伝わらない
EVPの例:
「エンジニアが技術選定の裁量を持ち、新しい技術に挑戦できる環境」
「社会インフラを支えるプロダクトに、少数精鋭のチームで取り組める」
「フルリモート×フレックスで、全国どこからでも最前線の開発に参加できる」
EVPが定まったら、これを軸に3つの基本戦略でコンテンツを展開していきます。
エンジニア向け採用ブランディングの3つの基本戦略
戦略1:技術力とイノベーションの発信
エンジニアにとって「この会社は技術に真剣に向き合っている」という印象は、最も強い惹きつけ要因の一つです。
技術ブログの運営
技術ブログは採用ブランディングの基本かつ最も効果的な手段です。効果が出るパターンは次の3つです。
課題解決型:実際の開発で直面した技術的課題と解決プロセスを詳述する
技術選定の裏側:なぜその技術スタックを選んだか、検討過程を公開する
失敗と学び:うまくいかなかったプロジェクトの振り返り。心理的安全性の証明にもなる
更新頻度は月2〜4回が目安です。現役エンジニアが実体験をもとに執筆することが信頼性の鍵で、外部ライターの代筆は読者にすぐ見抜かれます。具体的な運営ノウハウは「テックブログでエンジニア採用力を高める技術広報の始め方ガイド」で深掘りしています。
OSS貢献とテックカンファレンス
OSSへの貢献は技術コミュニティからの信頼を獲得する最短ルートです。自社ツールの公開、主要OSSへのコントリビューション、OSS活動の人事評価への反映などが具体策です。カンファレンス登壇は、企業の技術力を直接証明する場として有効で、登壇者のテーマ設定を尊重することが採用宣伝色を出さないコツです。
戦略2:企業文化と働き方の透明性
エンジニアは入社前に企業の内部文化をできるだけ知りたいと考えています。透明性の高さそのものがブランドの強みになります。
開発プロセスの公開
技術的意思決定プロセス(アーキテクチャ選定、ライブラリ導入の判断フロー)
コードレビューの文化(レビューの手厚さ、フィードバックの質)
CI/CDの整備状況(自動テスト、デプロイ頻度、品質管理の仕組み)
技術的負債への向き合い方(放置せず計画的に返済しているか)
チーム文化と心理的安全性
「どんなチームで働くか」は転職判断で大きなウェイトを占めます。フラットなコミュニケーション、心理的安全性、多様性、1on1やフィードバックの仕組みが具体的な発信ポイントです。
成長支援制度
エンジニアにとって「成長が止まること」は大きなリスクです。技術書・カンファレンス参加費用の負担、業務時間内の学習時間確保(週の10〜20%を技術探索に充てる例)、メンタリング制度などが強力な採用メッセージになります。
戦略3:社員の声とストーリーの活用
採用コンテンツの中で最も信頼されるのは、実際に働いている社員のリアルな声です。公式メッセージより「中の人」の一次情報が候補者の意思決定を動かします。
社員インタビューの設計ポイント:
転職の動機と入社の決め手
入社後のギャップ(良い意味でのギャップも、改善すべき点も正直に)
技術的挑戦の具体例
キャリアの成長実感
美辞麗句を並べた「広告的」インタビューは逆効果です。改善点も含めた率直な声のほうが信頼性が高く、好感度を上げます。
エンプロイーアドボカシー
エンプロイーアドボカシー(社員による自発的な情報発信)は最も効果的な手法の一つです。SNS発信を歓迎・支援する文化を作り、発信内容を強制せず、社員の登壇や記事執筆を社内で称賛する仕組みを整えます。個人ブランドと会社ブランドのWin-Winを目指す姿勢が成功の鍵です。
実践方法:コンテンツ・採用サイト・イベント
1. コンテンツマーケティング戦略
技術ブログ運営で最も大切なのは、「採用のために書く」のではなく「技術コミュニティに価値を提供する」という姿勢です。プロダクト開発の裏側、パフォーマンス改善、アーキテクチャ変遷、チーム開発の工夫など、自社が実際に取り組んだ事例から書き始めると無理がありません。
運営体制としては、テックリードを編集責任者に据え、執筆を業務の一部として認め、テンプレートやスタイルガイドで執筆ハードルを下げます。書くのが苦手なエンジニアには、口頭インタビューから編集者が記事化する方法も有効です。
SNS活用ではX(旧Twitter)で技術トピック発信と社員の個人発信支援、LinkedInでマネジメント層向けのキャリア成長ストーリー、Qiita・ZennでOrganizationを活用した深い技術記事を組み合わせます。
2. 採用サイトとキャリアページの最適化
エンジニアが転職を検討する際、かなりの確率で企業のキャリアページを訪問します。ここでの第一印象が応募の可否を左右します。
エンジニア向けキャリアページに必須の情報は次の4カテゴリです。
カテゴリ | 必須情報 |
技術スタック | 使用技術一覧、選定理由、技術的負債への対処方針 |
開発環境 | 支給PC、エディタ・IDE、クラウド・インフラ構成 |
チーム・プロジェクト | エンジニア組織の規模、代表的プロダクト、裁量範囲 |
報酬・評価 | 報酬水準・評価制度、昇給ロジック、SOや技術手当 |
ユーザビリティでは、表示速度(Core Web Vitals)、モバイル最適化、情報の見つけやすさ、応募導線の簡潔さ(カジュアル面談への導線も必須)を意識します。
3. テックイベント・コミュニティ活動
オンライン情報だけでなく、対面での接点をつくることでより深い関係を構築できます。
自社主催イベント:月1回程度の技術勉強会(Meetup)、自社事業領域に関連したハッカソンなどが定番です。社外エンジニア30〜100名規模を目標に、オンライン同時配信で地理的制約を超えます。
外部コミュニティとの連携:最も重要なのは**「採用目的」を前面に出しすぎないこと**です。コミュニティスポンサーシップ、社員の登壇・運営参加を業務として認める、テックイベントへの継続的関与で自然な存在感を高めます。「Give First」の精神が不可欠です。
4. 求人票・JDの最適化
採用ブランディングで認知を得ても、求人票(JD)が魅力的でなければ応募にはつながりません。
技術スタックの具体記載:「モダンな技術」ではなく「React/TypeScript/Go/AWS」のように具体的に
仕事内容の解像度:入社後3〜6ヶ月で取り組むプロジェクトを具体記載
チーム構成と役割:人数、エンジニア比率、レポートライン
成長機会の明示:技術チャレンジ、学習支援、キャリアパス
報酬レンジの透明性:報酬の透明性は信頼獲得に直結
JDだけでなく選考プロセスを事前に明示することも、応募率を高める有効な手段です。
業界・規模別の採用ブランディングアプローチ
業界・規模で優先順位は変わります。3つの典型パターンを紹介します。
スタートアップ(30〜100名規模)
リソース制約下では、「経営層・CTOの個人発信」を中核に据えるのが最も費用対効果が高い戦略です。
CTO・テックリードのX/Note発信を最優先(個人ブランド=会社ブランド)
採用イベントは小規模オフラインを月1回(クローズドな勉強会形式)
プレスリリースより技術ブログでの「裏側公開」を優先
一次面談は経営層が直接担当し、ストーリーを伝える
成長期SaaS企業(100〜500名規模)
組織拡大に伴い、「個人プレー」から「仕組み化」へのシフトが必要になります。
技術ブログを編集チーム制で運営(月4〜8本ペース)
シニアエンジニア層の登壇機会を組織的に拡大
カジュアル面談を採用ファネルの主軸に
リファラル制度を強化し社員紹介比率を採用ソースの30%以上に
エンタープライズ・大企業(500名超)
ブランド資産は豊富だが、「保守的で技術が古い」というステレオタイプを払拭する必要があります。
内製化・モダナイズの実例を継続発信(事例コンテンツ重視)
部門別の技術ブログでエンジニア組織の多様性を可視化
OSSへの組織的な貢献ポリシーを明文化・公開
中途採用専用キャリアサイトをコーポレートサイトから独立
アルムナイ(卒業生)ネットワークを採用に活用
業界別ではSaaS・Web系は技術的透明性、Fintech・Healthtechは社会的意義、SIerは内製化の本気度がエンジニアの判断軸として働きます。自社セグメントで「響くストーリー」を磨き込むことが差別化の起点です。
ゼロから始める採用ブランディング:4ステップフレームワーク
「何から手をつけていいかわからない」企業向けに、4ステップで立ち上げるフレームワークを紹介します。
ステップ1:現状把握と採用ペルソナの明確化(1〜2週間)
出発点は「誰に向けて発信するか」を明確にすることです。
採用ペルソナを具体的に設計する(技術スキル、志向性、情報収集行動)
自社の強みと弱みを棚卸しする(現場エンジニアへのヒアリングが最重要)
競合他社の採用ブランディングを3社以上調査する
伝えたいメッセージを3つ以内に絞り込む
よくある失敗:ペルソナを広く設定しすぎること。「エンジニア全般」ではなく「バックエンドのシニアで、自社の技術的課題に興味を持ちそうな人」のように具体的に。
ステップ2:発信基盤の整備(2〜4週間)
キャリアページの整備(技術スタック、チーム、開発文化を充実)
技術ブログの開設(初回3〜5記事を準備してからローンチ)
SNSアカウントの整備(企業公式X、LinkedInを技術発信に活用)
コンテンツカレンダーは、月2回以上の技術ブログ、週2〜3回のSNS投稿、四半期1回以上の社員インタビュー公開を目安に作成します。
ステップ3:継続発信と接点創出(3ヶ月〜)
社内で「一番語れる技術的テーマ」から記事化を始めます。エンジニアが書きやすいテンプレート(課題→アプローチ→結果→学び)を用意し、完璧を求めすぎないことが継続のコツです。70%の完成度でも定期的に出すほうが、100%の記事を年1回出すより効果があります。
並行して、技術勉強会、カンファレンス登壇、カジュアル面談、OSS貢献など接点を多角化します。
ステップ4:効果測定と改善サイクル(6ヶ月〜)
採用ブランディングは「やりっぱなし」では効果が出ません。データに基づく改善サイクルを四半期ごとに回すことが成功の鍵です。
12週間立ち上げロードマップ
「90日で土台を作る」を目標に逆算したテンプレートです。
週 | 主タスク | 完了基準 |
1〜2週 | ペルソナ・EVP仮説の策定 | キーメッセージ3つに集約 |
3〜4週 | キャリアページ改善・初回ブログ3記事準備 | 公開可能な記事ストック |
5〜6週 | 技術ブログ・SNSローンチ | 初回投稿公開・運営体制文書化 |
7〜8週 | カジュアル面談導線整備・社員インタビュー1本目 | 申込フォーム稼働 |
9〜10週 | 初回社外勉強会・Meetup開催 | 外部参加者20名以上 |
11〜12週 | 初回効果測定・KPI再設定 | 次四半期計画策定 |
3ヶ月で完璧を目指すのではなく、「定点観測できる仕組み」を作ることがゴールです。継続体制ができれば、半年〜1年で目に見える成果が出てきます。
採用ブランディングの効果測定とKPI
定量的KPI
「認知」「採用プロセス」「入社後」の3層で設計します。
認知度指標
指標 | 測定方法 | 目安 |
企業名検索数 | Search Consoleのブランドクエリ | 前四半期比で増加 |
技術ブログPV | アクセス解析 | 記事あたり500PV以上 |
SNSフォロワー数 | 各プラットフォーム | 四半期10%以上成長 |
イベント参加者数 | 申込管理ツール | 回ごとに増加 |
採用プロセス指標
指標 | 測定方法 | 意味 |
オーガニック応募比率 | ブランド力の直接的指標 | |
スカウト返信率 | スカウトツール集計 | 企業認知度の反映 |
書類選考通過率 | ATSデータ | 応募者の質向上を反映 |
内定承諾率 | ATSデータ | 候補者のエンゲージメント |
入社後指標
指標 | 測定方法 | 意味 |
早期離職率(1年以内) | 人事データ | 入社前後のギャップの少なさ |
エンジニア満足度 | ブランドの「約束」が守られているか | |
社員紹介率 | リファラル経由応募割合 | 社員の自社推奨度 |
定性的フィードバック
数値だけでは把握できない情報も重要です。
面接後アンケート:当社をどこで知ったか、面接前後のイメージギャップ、応募の決め手、改善点。
社員への定期ヒアリング:友人に紹介したいか、外部に伝えたい魅力、効果を実感した施策。
PDCAサイクル
四半期ごとにPlan(目標設定・予算配分)→ Do(実行・週次進捗)→ Check(KPI達成度・費用対効果)→ Action(効果の高い施策への集中投資)を回します。予算は年間採用予算の20〜30%が一般的な目安で、内訳はコンテンツ制作40%・イベント30%・ツール20%・外部パートナー10%程度です。
採用ブランディングでよくある失敗と対策
筆者が採用支援の現場で見てきた失敗パターンは大きく4つあります。
失敗1:「採用感」が強すぎて敬遠される
技術ブログやイベントで「弊社は最高です!入社しませんか?」が前面に出ると、エンジニアは一気に引いてしまいます。
対策:「技術コミュニティへの貢献」を主軸に置き、企業紹介は控えめに。価値あるコンテンツを提供すること自体が最高のブランディングです。
失敗2:発信内容と実態が乖離している
採用向けには「最先端の技術に取り組んでいます」と発信しながら、実際はレガシーなコードベースで開発しているケースです。
対策:等身大の発信を心がけ、課題があるならそれに向き合う姿勢を見せます。技術的負債の現状をオープンにすることが、むしろ好印象につながります。
失敗3:短期的な成果を求めて続かない
採用ブランディングは最低6ヶ月〜1年以上の継続が必要です。「3ヶ月やったけど効果がない」と諦めるのは早計です。
対策:経営層への期待値コントロールが重要。採用KPIを段階的に設定し、短期指標(PV、フォロワー)も合わせて報告して継続を担保します。
失敗4:人事部門だけで完結してしまう
採用ブランディングはエンジニア組織の協力なしには成功しません。
対策:CTO/VPoEを巻き込み、「エンジニア組織全体の活動」として位置づけます。ブログ執筆や登壇を人事評価に反映する仕組みも有効です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 採用ブランディングの効果が出るまでどれくらいかかりますか?
A: 認知度向上は1〜3ヶ月、応募者数・質の向上は3〜6ヶ月、採用コスト削減は6ヶ月〜1年が目安です。短期間でやめると蓄積資産がリセットされるため、最低1年は継続する前提で投資判断してください。
Q2: 小規模な会社やスタートアップでも可能ですか?
A: むしろ小規模だからこそ効果的な施策が多いです。創業者やCTOが直接技術発信を行う、全社員が採用に関わる文化を作る、少数精鋭のチーム感を強みにするなど。技術ブログやSNS発信は無料で始められます。
Q3: エンジニアが忙しくて記事を書いてくれません。どうすればいいですか?
A: 「書く時間が確保されていない」という構造的問題に対処します。業務時間内に執筆時間を確保する、テンプレートで執筆ハードルを下げる、口頭インタビューからの記事化を選択肢に入れる、書いた記事が社内外で評価される仕組みを作る、の4点が有効です。
Q4: 競合との差別化が難しい場合、何に注力すべきですか?
A: 技術スタックが似ている場合は「人」と「文化」に焦点を当てます。チームの雰囲気、意思決定プロセスの透明性、失敗への寛容さ、成長支援の運用実態は各社で大きく異なります。事業のパーパスも、特にシニア層には強い差別化要因です。
Q5: 予算配分の目安は?
A: 年間採用予算の20〜30%が一般的な目安です。内訳はコンテンツ制作40%・イベント30%・ツール20%・外部パートナー10%が標準的な配分です。
Q6: 採用ブランディングの成果を社内に報告するポイントは?
A: 定量データ(応募数、スカウト返信率、採用単価)と定性的な変化(候補者フィードバック、社員の協力意欲)をバランスよく報告します。短期プロセス指標(PV、フォロワー)と長期成果指標(採用の質、定着率)を分けて示すと、途中段階でも進捗を可視化できます。
Q7: 採用ブランディングと採用広報の違いは?
A: ブランディングは「中長期で働きたい会社と認識される状態づくり」、広報は「採用市場への継続的な情報発信」です。前者が戦略・土台、後者が実行手段に近い関係です。実務では両者を一体運用し、戦略から逆算して広報のコンテンツテーマを決めます。
Q8: ブランディング施策の効果検証はどう行いますか?
A: 4階層で測定します。①認知層(指名検索数、ブログPV)、②検討層(カジュアル面談申込数、スカウト返信率)、③応募層(オーガニック応募比率、応募者の質)、④採用後(早期離職率、社員満足度)。各層の指標を月次でダッシュボード化し、施策ごとにどの層に効いたかを追跡することでROIの可視化が可能です。
TL;DR(要点まとめ)
エンジニア採用ブランディングが必要な理由
構造的な人材不足:IT人材の需給ギャップが拡大し続けている
パッシブ層への到達:転職活動をしていない層にはブランド認知が必須
判断基準の変化:年収だけでなく、技術文化・チーム・パーパスを重視
3つの基本戦略
技術力の発信:技術ブログ、OSS貢献、カンファレンス登壇
企業文化の透明化:開発プロセス、心理的安全性、成長支援の可視化
社員の一次情報:リアルなインタビュー、エンプロイーアドボカシー
ゼロから始める4ステップ
現状把握とペルソナ設計
発信基盤の整備
継続発信と接点創出
効果測定と改善
効果が出るまでの期間
1〜3ヶ月:認知度向上、SNSエンゲージメント増加
3〜6ヶ月:応募者の数と質の向上、スカウト返信率改善
6ヶ月〜1年:採用コスト削減、内定承諾率・定着率の改善
まとめ・次のアクション
エンジニア採用ブランディングは、構造的な人材不足を突破するための中長期戦略です。「良い求人を出せば人が来る」時代は終わりつつあり、ターゲット人材に日常的に認知され、「この会社で働きたい」と思ってもらえる状態を作ることが、持続可能な採用力の源泉です。
筆者が複数社の採用支援を伴走してきた経験では、成功する企業は次の3点を必ず守っています。
技術力の証明:実際の技術的取り組みを具体的に発信する
等身大の文化発信:美辞麗句ではなく、リアルな環境と成長機会を透明に伝える
継続と改善:短期成果に一喜一憂せず、データに基づいて改善し続ける
今すぐ始められるアクション
今週中にできること
自社の技術的な強みと企業文化を棚卸しする
競合他社の技術ブログ・採用ページを3社以上チェックする
社内エンジニアに「うちの会社の魅力は?」とヒアリングする
1ヶ月以内に取り組むこと
採用ペルソナの策定と社内共有
キャリアページの改善計画立案
技術ブログの初回記事テーマを3つ以上決め、執筆開始
3ヶ月以内の目標
技術ブログを月2回ペースで更新する体制の確立
SNSアカウントでの定期的な技術発信開始
初回の社内外技術勉強会の開催
完璧な戦略を最初から描く必要はありません。小さく始めて、反応を見ながら徐々に拡大していくアプローチがおすすめです。
techcellarでは、エンジニア採用に特化したRPOサービスを提供しています。 採用ブランディングの戦略設計からスカウト運用、選考プロセスの最適化まで、エンジニア採用のプロフェッショナルが一貫して支援します。
エンジニア採用の打ち手、
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techcellarは、採用に詳しいエンジニア自身が貴社の採用チームに伴走するサービスです。 スカウト文面の改善、技術面接の設計、ペルソナ設計、媒体選定まで、実務目線でアドバイスします。
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