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Tips エンジニア採用のヒント

updated_at: 2026/3/30

外国人エンジニア採用の始め方|ビザ・選考・定着の実践ガイド

外国人エンジニアの採用手順をビザ取得・選考設計・オンボーディング・定着支援まで実践的に解説

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TL;DR(この記事の要約)

  • 経済産業省の試算では2030年に最大約79万人のIT人材が不足する見込みで、外国人エンジニア採用は人材確保の有力な選択肢

  • 主な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」と「高度専門職」の2つ。採用フローに在留資格の確認・申請工程を組み込むことが重要

  • 選考では「英語+やさしい日本語」の二段構えで設計し、技術力とコミュニケーション力を分けて評価する

  • オンボーディングはバディ制度・多言語ドキュメント・文化オリエンテーションの3本柱で設計する

  • 定着のカギは「キャリアパスの明示」と「心理的安全性のある職場づくり」


外国人エンジニア採用の始め方|ビザ・選考・定着の実践ガイド

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「エンジニアが採れない」。スタートアップの経営者や採用担当者なら、この悩みは日常だろう。求人を出しても応募が来ない、スカウトを送っても返信がない。国内の採用市場だけで戦い続けることに限界を感じている企業は多い。

そこで注目されているのが、外国人エンジニアの採用だ。出入国在留管理庁の統計によると、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に在留する外国人は2025年6月末時点で約45.8万人にのぼり、年々増加が続いている。IT分野に限っても、外国籍エンジニアの数はこの10年で約3倍に拡大した。

しかし、「興味はあるが、ビザの手続きがわからない」「言語の壁が不安」「定着してもらえるか心配」という声もよく聞く。

この記事では、外国人エンジニア採用を初めて検討する企業に向けて、在留資格の基礎知識から選考設計、オンボーディング、定着支援まで一気通貫で解説する。

このページでわかること:

  • 外国人エンジニア採用が必要になっている背景と市場データ

  • 在留資格(ビザ)の種類と申請手続きの流れ

  • 言語の壁を越える選考設計の具体的手法

  • 入社後のオンボーディングと定着率を高める施策

  • 採用チャネルの選び方と活用のコツ


1. なぜ今、外国人エンジニア採用なのか

IT人材不足は構造的な問題

日本のIT人材不足は一時的なトレンドではなく、構造的な問題だ。経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年)によると、2030年にはIT人材が最大約79万人不足すると試算されている。少子高齢化による労働人口の減少と、DX需要の拡大が同時に進んでいるため、需給ギャップは今後も広がる一方だ。

厚生労働省「一般職業紹介状況」によれば、2025年11月時点の「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は1.43倍。全職種平均の1.12倍を上回っており、エンジニアの採用難易度は依然として高い。

外国人エンジニアの存在感が増している

こうした背景から、外国人エンジニアの採用に踏み切る企業が増えている。特にスタートアップやメガベンチャーでは、開発チームの20〜30%が外国籍というケースも珍しくなくなった。

外国人エンジニアを採用するメリットは人材確保だけではない。

  • 多様な視点がプロダクトの品質を高める: 異なる文化圏で育った人材は、日本市場だけでは気づけないUXの課題やグローバル展開のヒントを持っている

  • 英語力のあるチームはグローバル対応力が上がる: 海外のOSSコミュニティやカンファレンスへの参加、英語圏クライアントとの連携がスムーズになる

  • 採用母集団が大幅に広がる: 国内だけでなく海外在住のエンジニアもターゲットにできるため、候補者の絶対数が増える(母集団形成の基本は「エンジニア採用の母集団形成ガイド」も参照)

よくある誤解を解いておく

外国人エンジニア採用に対して、次のような誤解がよくある。

誤解

実際のところ

日本語が流暢でないと仕事にならない

開発チームは英語で業務を回せるケースが多い。社内ドキュメントの多言語化で対応可能

ビザの手続きが複雑すぎる

基本的な在留資格であれば手続きは定型化されている。行政書士に依頼すれば企業側の負担は小さい

すぐ辞めて帰国してしまう

適切なオンボーディングとキャリアパスの提示があれば、日本人エンジニアと定着率は大きく変わらない

コストが高い

人材紹介フィーは日本人採用と同水準。ビザ申請の行政書士費用(10〜20万円程度)が追加される程度


2. 在留資格(ビザ)の基礎知識と手続きの流れ

外国人エンジニアを採用するうえで、避けて通れないのが在留資格の問題だ。ここでは、エンジニア採用で特に関係する2つの在留資格と手続きの流れを解説する。

エンジニア採用に関係する主な在留資格

① 技術・人文知識・国際業務(通称:技人国ビザ)

最も一般的な就労ビザで、ITエンジニアの多くがこの資格に該当する。自然科学(理系)または人文科学(文系)の知識を活かした業務に従事する外国人が対象だ。

  • 要件: 大学卒業(学士以上)または10年以上の実務経験。大学の専攻と業務内容の関連性が求められる

  • 在留期間: 5年、3年、1年、3か月のいずれか

  • 更新: 在留期限の3か月前から申請可能

② 高度専門職(高度人材ポイント制)

学歴・職歴・年収・年齢などをポイント化し、合計70点以上で認定される在留資格。通常の「技人国」よりも優遇措置が多い。

  • 優遇措置: 在留期間5年(1号)、複合的な活動の許可、配偶者の就労許可、永住許可要件の緩和(最短1年)など

  • 2023年4月導入の「J-Skip」: 修士号+年収2,000万円以上、または職歴10年以上+年収2,000万円以上で、ポイント計算なしに高度専門職の資格を付与

シニアエンジニアやテックリードクラスの人材であれば、高度専門職に該当するケースは多い。年収や学歴の条件を満たすか、採用オファーの段階で確認しておこう。

海外から採用する場合の手続きフロー

海外在住の外国人エンジニアを採用する場合、手続きは以下の流れになる。

ステップ1: 内定・雇用契約の締結 まず採用を決定し、雇用契約書を締結する。この契約書が在留資格の申請に必要になる。

ステップ2: 在留資格認定証明書の申請 企業側が出入国在留管理局に「在留資格認定証明書」を申請する。審査期間は通常1〜3か月。必要書類は以下のとおり。

  • 在留資格認定証明書交付申請書

  • 申請人の顔写真、パスポートのコピー

  • 学歴・職歴を証明する書類(卒業証明書、職務経歴書など)

  • 雇用契約書のコピー

  • 企業の登記事項証明書、決算書類

  • 企業の事業内容を説明する資料

ステップ3: 認定証明書の送付・ビザ申請 認定証明書が交付されたら、本人に送付。本人が在外日本大使館・領事館でビザを申請する。

ステップ4: 入国・在留カードの受け取り ビザ取得後に来日し、空港で在留カードを受け取る。入国後14日以内に住所地の市区町村で住民登録が必要。

国内在住の外国人を採用する場合

すでに日本に在住している外国人(留学生、他社で就労中の人材など)を採用する場合は、以下のパターンに分かれる。

  • 同じ在留資格の範囲内: 転職届出のみで可。就労資格証明書の取得を推奨

  • 在留資格の変更が必要: 在留資格変更許可申請が必要(審査期間: 2週間〜1か月程度)

  • 留学生の新卒採用: 「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更申請が必要

手続きの外部委託を検討する

在留資格の申請手続きは、入管業務に精通した行政書士に委託するのが一般的だ。費用は1件あたり10〜20万円程度。初めて外国人を採用する企業は、手続きミスによる入社遅延を防ぐためにも、専門家への依頼を強くおすすめする。


3. 外国人エンジニアの採用チャネルと母集団形成

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主な採用チャネル

外国人エンジニアを採用するためのチャネルは、大きく5つに分類できる。

① グローバル対応の求人プラットフォーム

日本で働きたい外国人エンジニアが登録しているプラットフォームを活用する方法。英語の求人票を掲載でき、ビザサポートの有無を明示できるサービスが多い。

  • 日本で働く外国人エンジニア向けのジョブボード

  • グローバルなテック系求人サイト(LinkedIn Jobs、Stack Overflow Jobsなど)

② ダイレクトスカウト

LinkedInやGitHubで候補者を見つけ、直接アプローチする方法。スタートアップにとっては最もコストパフォーマンスが高いチャネルの一つだ。

  • LinkedIn: 世界最大のビジネスSNS。日本在住の外国人エンジニアだけでなく、海外からの転職希望者にもリーチできる

  • GitHub: OSSへの貢献やリポジトリの内容から技術力を事前に評価できる

③ 外国人エンジニア専門の人材紹介会社

ビザサポートや日本語教育まで一括で対応してくれるエージェントもある。初めて外国人採用に取り組む企業には、手続き面でのサポートが心強い。

④ 大学・教育機関との連携

日本の大学に在籍する留学生や、海外の大学との提携を通じた採用。新卒・第二新卒層の確保に有効だ。日本学生支援機構(JASSO)の統計によると、日本の大学・大学院に在籍する留学生のうち、理工系の学生は約3割を占める。

⑤ テックイベント・コミュニティ

日本国内で開催される英語対応のテックイベントやミートアップに参加・スポンサーする方法。候補者と直接対話できるため、企業文化の発信にも効果的だ。

求人票の多言語対応

外国人エンジニアにリーチするためには、求人票の英語対応が不可欠だ。ただし、単に日本語の求人票を翻訳するだけでは不十分。以下のポイントを押さえよう。

  • 必須スキルと歓迎スキルを明確に分ける: 外国人候補者は「必須」と書かれたスキルを文字通りに受け取る傾向がある。曖昧な表現は避ける(求人票の書き方全般は「エンジニアが応募したくなる求人票(JD)の書き方完全ガイド」を参考に)

  • 日本語レベルの要件を具体的に書く: 「日本語ビジネスレベル」ではなく、「JLPT N2以上」「日常会話レベルでOK、社内ミーティングは英語」など具体的に記載する

  • ビザサポートの有無を明記する: 「Visa sponsorship available」と明記するだけで応募率は大きく変わる

  • 福利厚生をグローバル基準で説明する: リモートワーク可否、有給休暇日数、住宅手当の有無など、海外のエンジニアが重視するポイントを漏れなく記載する


4. 言語の壁を越える選考設計

外国人エンジニアの選考で最も悩ましいのが、言語の問題だ。「日本語ができないと評価できない」と思い込んでいる企業も多いが、技術力とコミュニケーション力を分けて評価する仕組みを作れば、言語の壁はかなり低くできる。

選考フローの設計例

以下は、外国人エンジニア採用を想定した選考フローの一例だ。

ステップ

内容

使用言語

評価ポイント

1. 書類選考

英文レジュメ+GitHub/ポートフォリオ

英語

技術スキル、経験の一致度

2. コーディングテスト

オンライン技術課題(60〜90分)

英語

コーディング力、問題解決力

3. 技術面接

ライブコーディング+システム設計ディスカッション

英語

技術の深さ、設計思考、コミュニケーション

4. カルチャー面接

チームメンバーとの対話

英語+やさしい日本語

カルチャーフィット、協働姿勢

5. オファー面談

条件提示・質疑応答

英語+日本語通訳

入社意欲、条件のすり合わせ

技術面接を英語で実施するコツ

技術面接を英語で行うことに不安を感じる面接官は多い。だが、エンジニア同士の技術的な会話は専門用語が共通しているため、日常会話よりもハードルは低い。

  • 事前に質問リストを英語で準備する: その場で英訳しようとすると混乱する。質問と評価基準を英語で書いておく

  • ホワイトボードやコードで会話する: 言葉で伝わりにくい部分は、図やコードで補完する。これはエンジニア同士のコミュニケーションとして自然な方法だ

  • スピードよりも正確さを重視する: 流暢に話せなくても問題ない。ゆっくり、簡潔に話すことを心がける

  • 面接官側も「完璧な英語」を求められていないことを認識する: 候補者も日本企業で働くことを前提にしており、面接官の英語力に過度な期待はしていない

日本語力の評価基準を明確にする

ポジションによって求められる日本語力は異なる。以下のように、役割ごとに基準を整理しておくと、選考時の判断がブレにくい。

役割

必要な日本語力

目安

バックエンドエンジニア(英語チーム)

日常会話レベル

JLPT N3〜N4程度

フルスタックエンジニア(日英混在チーム)

ビジネス会話レベル

JLPT N2程度

テックリード(日本人チーム統括)

ビジネス文書レベル

JLPT N1〜N2程度

クライアント対応あり

ネイティブに近いレベル

JLPT N1程度

重要なのは、日本語力で技術力を過小評価しないことだ。日本語が流暢でなくても、技術的に優秀なエンジニアは数多くいる。チームの言語環境を整備することで、日本語力が低いエンジニアでも十分にパフォーマンスを発揮できる。構造化面接の設計手法については「エンジニア採用の構造化面接設計ガイド」も併せて読んでほしい。


5. オンボーディング:入社後90日で「このチームでやっていける」と思ってもらう

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外国人エンジニアの採用で最も重要なのは、実は入社後のオンボーディングだ。海外から来日した場合は、仕事だけでなく生活面でも大きな変化がある。最初の90日で「この会社に来てよかった」と思ってもらえるかどうかが、その後の定着を左右する。

入社前の準備(内定〜入社日)

入社日を迎える前から、サポートは始まる。

生活面のサポート:

  • 住居探しの支援(不動産会社の紹介、外国人対応可能な物件リストの提供)

  • 銀行口座の開設サポート

  • 携帯電話の契約サポート

  • 市区町村への転入届・健康保険・年金の手続き案内

  • 周辺エリアのガイド(スーパー、病院、交通機関など)

業務面の準備:

  • PCやアカウントの事前セットアップ

  • 社内ドキュメント・Wikiの英語化(最低限、開発環境のセットアップ手順とコーディング規約)

  • チームメンバーへの事前紹介(Slackでの自己紹介を促すなど)

入社初日〜1週間

  • バディの割り当て: 業務だけでなく、ランチや雑談相手としてのバディを1人アサインする。可能であれば英語が話せるメンバーが望ましい

  • 文化オリエンテーション: 日本のビジネスマナー(名刺交換、報連相、会議の進め方など)を押し付けではなく情報提供として伝える

  • 開発環境のセットアップ: 英語の手順書に沿って、自力でセットアップできる状態を目指す。詰まった場合はバディがサポート

入社1週間〜1か月

  • 小さなタスクから始める: バグ修正や小規模な機能追加など、コードベースに慣れるための入り口となるタスクを用意する

  • 1on1の頻度を高める: 最初の1か月は週1回以上の1on1を実施。業務だけでなく、生活面の困りごとも聞く

  • チームのコミュニケーションルールを明文化する: 「会議は英語で行う」「Slackは英語を基本言語にする」「日本語で議論した内容は英語でサマリーを残す」など、暗黙のルールを明確にする

入社1か月〜3か月

  • 徐々に責任範囲を広げる: 単独でPRを出せるレベルを目指す

  • 日本語学習のサポート: 希望者には日本語学校の費用補助や、オンライン日本語レッスンの提供を検討する

  • 3か月面談: 入社から3か月のタイミングで、本人の満足度・課題・今後のキャリア希望をヒアリングする

オンボーディングの体系的な設計方法は「エンジニアのオンボーディング完全ガイド」で詳しく解説している。


6. 定着率を高めるための組織づくり

採用して終わりではない。外国人エンジニアが長く活躍できる組織を作るための施策を見ていこう。

キャリアパスの明示

外国人エンジニアが離職する理由の上位に挙がるのが、「キャリアパスが見えない」という不満だ。日本企業では暗黙的に昇進ルートが存在することが多いが、外国人にとっては「何をすれば評価されるのか」「次のステップはどこか」が明確でないと不安を感じやすい。

  • 等級・グレード制度を明文化する: 各等級に必要なスキル・成果を具体的に定義する

  • 昇進・昇給の基準を透明にする: 「〇年在籍すれば自動的に上がる」ではなく、「何ができるようになれば次のグレードに上がれるか」を明示する

  • IC(Individual Contributor)トラックとマネジメントトラックの両方を用意する: マネジメントに進むことだけが「成長」ではないことを制度で示す(詳しくは「エンジニアのキャリアパス設計で採用力と定着率を高める実践ガイド」を参照)

多言語コミュニケーション環境の整備

日本語オンリーの職場環境は、外国人エンジニアにとって大きなストレス要因になる。完全英語化が難しくても、以下のような段階的な対応は可能だ。

レベル1(すぐにできること):

  • Slackの主要チャンネルを英語にする

  • 議事録を英語でも残す

  • コードレビューのコメントを英語にする

レベル2(3か月以内に整備):

  • 社内Wikiの重要ドキュメントを英語化する

  • 全体会議でのスライドを英語にする

  • 評価制度・就業規則の英語版を作成する

レベル3(半年〜1年かけて推進):

  • 公式な社内言語を「英語ファースト」にする

  • 日本人メンバー向けの英語研修を実施する

  • 社内システム・ツールのUI言語を英語対応にする

インクルーシブな職場文化の醸成

制度だけでなく、日々のコミュニケーションの中でインクルーシブな文化を作ることが重要だ。

  • 「飲みニケーション」に頼らない関係構築: ランチ会やコーヒーチャット、オンラインでの雑談タイムなど、アルコールを前提としないコミュニケーション機会を設ける

  • 宗教・食文化への配慮: ハラール対応、ベジタリアン対応の選択肢を社食やチームランチで用意する

  • 祝日・休暇の柔軟な運用: 母国の祝日に休暇を取りやすくする制度(フレキシブル休暇制度など)を検討する

  • 「やさしい日本語」の推進: 日本語で話すときは、敬語や二重否定を避け、短文で話すことをチーム全体で意識する

エンジニアの離職防止策をさらに深掘りしたい場合は「エンジニアの離職を防ぐ!定着率を高めるリテンション実践ガイド」も参考になる。


7. 法務・労務で押さえておくべきポイント

外国人エンジニアの雇用では、日本人の採用にはない法務・労務面の注意点がある。最低限押さえておくべきポイントを整理する。

在留資格の管理

  • 在留期限の管理: 在留カードの期限を人事システムで管理し、更新時期が近づいたらリマインドする仕組みを作る

  • 転職時の届出: 外国人が転職した場合、14日以内に出入国在留管理庁への届出が必要。企業側も「中長期在留者の受入れに関する届出」を提出する

  • 資格外活動の制限: 在留資格で許可された範囲外の業務(例: 技人国ビザで単純労働)をさせると、企業側にも罰則がある

社会保険・税務

外国人エンジニアも、日本で就労する以上は日本人と同じ社会保険・税制度が適用される。

  • 健康保険・厚生年金: 日本人と同様に加入義務あり

  • 所得税: 居住者(日本に1年以上在住見込み)として源泉徴収される

  • 住民税: 1月1日時点で日本に住所がある場合に課税

  • 社会保障協定: 出身国と日本の間に社会保障協定がある場合、年金の二重加入を回避できる。対象国は要確認

帰国・退職時の手続き

  • 退職後の在留資格: 退職後も在留期限内であれば日本に滞在できるが、3か月以上就労活動をしないと在留資格が取り消される可能性がある

  • 厚生年金の脱退一時金: 日本に6か月以上厚生年金に加入した外国人が帰国する場合、脱退一時金を請求できる

  • 住民税の精算: 帰国前に住民税の残額を一括精算する必要がある。納税管理人の選任も忘れずに


8. スタートアップが外国人エンジニア採用で成果を出すためのロードマップ

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「うちのような小さな会社でも外国人採用はできるのか?」という疑問を持つスタートアップ経営者は多い。結論から言えば、できる。むしろ、意思決定が速く、柔軟な制度設計ができるスタートアップは、外国人エンジニア採用との相性が良い。

フェーズ1: 準備期間(1〜2か月)

  • 社内の英語化方針を決める(どのレベルまで対応するか)

  • 求人票の英語版を作成する

  • 在留資格の手続きを依頼できる行政書士を見つける

  • 面接で使う英語の質問リストを準備する

  • 採用チャネル(LinkedIn、外国人向けジョブボードなど)にアカウントを作る

フェーズ2: 採用活動(2〜3か月)

  • 英語の求人票を各チャネルに掲載する

  • LinkedInでのダイレクトスカウトを開始する

  • 書類選考〜技術面接を英語で実施する

  • 内定者のビザ申請手続きを開始する(海外からの場合は1〜3か月を見込む)

フェーズ3: 受け入れ準備(入社1か月前〜)

  • オンボーディングプログラムを整備する

  • バディを選任する

  • 社内ドキュメントの英語化を進める

  • 住居・生活面のサポート体制を準備する

フェーズ4: 入社後フォロー(入社後3か月)

  • 週次の1on1を実施する

  • 3か月面談でフィードバックを収集する

  • 課題があれば制度・環境を改善する

  • 次の外国人採用に向けた知見を蓄積する


FAQ(よくある質問)

Q1. 日本語が全くできない外国人エンジニアを採用しても大丈夫ですか?

チームの言語環境次第だ。開発チーム内のコミュニケーションを英語で行える体制があれば、日本語力ゼロでも業務は回せる。ただし、社内の他部門(人事、総務、経理など)とのやり取りでは日本語が必要になる場面があるため、そこをサポートする仕組み(通訳担当の設置、多言語の社内システムなど)は用意しておきたい。

Q2. ビザの申請にはどれくらいの期間がかかりますか?

在留資格認定証明書の審査は通常1〜3か月。国内在住者の在留資格変更は2週間〜1か月程度。海外からの採用の場合は、認定証明書の審査+現地でのビザ申請+渡航準備を合わせて、内定から入社まで3〜5か月を見込んでおくのが安全だ。

Q3. 外国人エンジニアの給与は日本人と同じ水準でよいですか?

法律上、国籍による賃金差別は禁止されている。同じ職種・スキルレベルであれば、日本人と同等以上の報酬を設定すべきだ。むしろ、海外からの転職の場合は引っ越し手当や住居サポートなどの追加コストを考慮して、やや手厚いパッケージを用意する企業も多い。在留資格の審査でも「日本人と同等以上の報酬」であることが要件の一つになっている。

Q4. 採用した外国人エンジニアが短期間で退職するリスクはどう防げますか?

定着率を左右する最大の要因は、入社後のサポート体制だ。具体的には、①バディ制度によるきめ細かなフォロー、②キャリアパスの明確な提示、③多言語コミュニケーション環境の整備、④生活面のサポート、の4つを押さえることでリスクを大幅に低減できる。また、採用段階で「なぜ日本で働きたいのか」「どのくらいの期間日本にいるつもりか」を丁寧にヒアリングすることも重要だ。

Q5. 社内に英語ができるメンバーがほとんどいません。それでも外国人採用は可能ですか?

可能だが、段階的なアプローチが必要だ。まずは日本語がある程度できる外国人エンジニア(JLPT N2以上)を最初の1人として採用し、受け入れのノウハウを蓄積する。並行して、社内の英語化(コードレビューを英語にする、英語の社内勉強会を開くなど)を少しずつ進める。最初の外国人メンバーが定着し、チームに多様性のある環境が当たり前になってから、日本語力を問わない採用に拡大していくのが現実的だ。

Q6. 外国人エンジニアの採用で使える補助金や助成金はありますか?

厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」が代表的だ。外国人労働者の就労環境整備(多言語マニュアル作成、通訳費用など)に対して、経費の一部が助成される。支給額は上限57万円〜72万円(生産性要件を満たした場合)。詳細な要件は厚生労働省の公式サイトで最新情報を確認してほしい。

Q7. リモートワークで海外在住のエンジニアを雇うことはできますか?

海外在住のまま日本企業で働く場合、在留資格は不要だが、別の課題がある。税務上は業務委託契約が一般的で、雇用契約にすると相手国の労働法・社会保険が適用される可能性がある。また、時差やコミュニケーションコストの問題も考慮が必要だ。海外在住者の雇用(EOR: Employer of Record)を支援するサービスを活用する方法もある。


まとめ:外国人エンジニア採用は「特別なこと」ではなくなる

外国人エンジニアの採用は、数年前までは一部のグローバル企業やメガベンチャーだけの話だった。しかし、IT人材不足が深刻化する中で、スタートアップや中小企業にとっても現実的な選択肢になりつつある。

大切なのは、「外国人だから特別な対応が必要」と構えすぎないことだ。在留資格の手続きや言語面のサポートは確かに必要だが、根本的にやるべきことは日本人のエンジニア採用と変わらない。技術力をしっかり評価し、候補者に敬意を持って接し、入社後に活躍できる環境を整える。その基本を押さえたうえで、ビザや言語のサポートを上乗せするイメージだ。

まずは1人目の外国人エンジニアの採用から始めてみよう。1人目がチームに加わり、活躍する姿を社内が目にすることで、組織の多様性に対する意識は大きく変わる。


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