公開: 2026/5/19|更新: 2026/7/1
転職ドラフトでエンジニア採用完全ガイド|指名コメントから承諾率向上まで
競争入札型スカウトの転職ドラフトで採用を成功させる指名コメント・年収設計・運用の全手順
転職ドラフトで採用を成功させる鍵は**「高い年収を提示すること」ではなく「候補者のレジュメを本気で読んで書いた指名コメントの質」**にある。スカウト時に年収が開示される競争入札型の構造上、指名コメントの具体性が他社との唯一の差別化要素になるからです。採用支援の現場でBizReach・Findy・Green等13サービスを運用してきた経験から、転職ドラフト特有の入札戦略と指名コメント設計を解説します。
TL;DR(要点まとめ)
競争入札型:スカウト時に年収を提示するため、選考入り後の条件ミスマッチがほぼ起きない
返信率は90%超:エンジニアが「興味あり」を押した相手だけに面談交渉するため、進捗率が高い
勝負は指名コメント:テンプレート機能なし・1通ずつ手書きが必須。質の差が直接承諾率に出る
開催は月1回約2週間:集中型イベントなので運用スケジュールを事前に組まないと工数が溢れる
料金は年間50万円+成功報酬160万円:年収に連動しない固定額なので年収600万円以上の採用ほどコスパが良い
1. 転職ドラフトとは何か|競争入札型採用の仕組み
転職ドラフトは株式会社リブセンスが運営するITエンジニア特化のダイレクトリクルーティングサービスです。一般的なスカウト媒体と決定的に異なる点は「指名と同時に年収を提示する」こと。エンジニアは最初から自分へのオファー年収がわかった状態でアプローチを受けます。
毎月1回・約2週間のドラフト期間に、企業がエンジニアを指名→エンジニアが返答(興味あり/なし)→マッチングした相手と面談交渉という流れです。
転職ドラフト 2026年1月開催実績(出典:株式会社リブセンス発表):
参加エンジニア:537名
参加企業:235社
総指名数:2,800件
平均提示年収:816万円(2020年1月の644万円から5年間で172万円上昇)
指名返信率が約90%という数字は「エンジニアが事前に年収を確認した上で返答している」から実現できる水準です。一般スカウト媒体(Green・BizReach等)の返信率が5〜20%程度なのとは構造から違います。転職ドラフトが特に強いのは「今すぐ転職するつもりはないが、良いオファーがあれば動く」転職潜在層へのアプローチです。
各スカウト媒体の比較は「エンジニア採用スカウトサービス比較」も参照してください。
2. 登録者の特徴と採用に向く層
スカウト運用支援を通じた実感として、転職ドラフトに多いのは「自分の市場価値を数値で確認したい30〜40代ミドル層」と「今すぐ転職するつもりはないが良いオファーがあれば動く転職潜在層」です。GitHub・技術ブログ・登壇などアウトプットに積極的で、スタートアップ・SaaS・モダン技術環境を志向する傾向が強い。
BizReachやFindyと比較したとき、転職ドラフトの登録者は「年収の上昇を目的にしているというより、自分の市場価値を客観的に確認したい」という動機が強い印象があります。採用支援先でBizReach・Findy・転職ドラフトを並行運用したところ、転職ドラフト経由の候補者は選考への熱量が安定して高く、辞退率が低い傾向がありました。
転職ドラフトに参加できるのは、運営の独自審査(合格率約40%)を通過したエンジニアのみです。審査の主な観点はプロジェクト実績・スキルセット・職種経験の深さで、実務経験が浅い層は弾かれ、実務3年以上の即戦力層が中心になります。審査段階でレジュメへのフィードバックが入るため、職務経歴の記載が具体的で、他媒体に比べてスクリーニングにかかる時間が短いのも実務上のメリットです。
採用しやすいポジション:
バックエンド・フルスタックエンジニア
テックリード・シニアエンジニア(年収700〜1,000万円帯)
自社開発企業でのプロダクト開発
OSS活動や技術ブログ等のアウトプットがある候補者
採用が難しいケース:組み込み・ハードウェア系(登録者が少ない)、年収300〜500万円帯のジュニア層(メイン層と乖離)、大企業・SIer向けの要件、マネジメント専任(転職ドラフトの登録者は技術志向が強い)。
転職ドラフトの登録者が重視するポイント
転職ドラフトの公式データによると、エンジニアが面談に進む際に重視する要素の上位は「技術的な挑戦ができるか」「リモート・フレックスの柔軟性」「年収水準」「会社のフェーズと裁量」の順です。「給与が高い」だけでは選んでもらえず、技術的な面白さとカルチャーへの言及が求められます。
3. 料金体系と費用対効果
転職ドラフトの料金はシンプルな2本立てです。
費用項目 | 金額 |
基本利用料 | 50万円/年 |
成功報酬(正社員採用) | 160万円/1名 |
成功報酬(業務委託) | 30万円/1名 |
最大の特徴は成功報酬が年収に連動しない固定額であること。人材紹介会社は「年収の30〜35%」が相場なので年収1,000万円採用では300〜350万円かかります。転職ドラフトは160万円固定なので年収600万円以上の採用で明確にコスト優位。年収700〜900万円帯のシニアエンジニア採用で費用対効果が最も出やすい媒体の一つです。
採用コストシミュレーション例:
採用手法 | 年収700万円の採用コスト | 年収1,000万円の採用コスト |
転職ドラフト(成功報酬) | 160万円+年間費用50万円 | 160万円+年間費用50万円 |
人材紹介(年収30%) | 210万円 | 300万円 |
BizReach(成功報酬) | 中間マージン込みで210〜250万円前後 | 280〜350万円前後 |
※人材紹介・BizReach経由の費用は契約条件によって異なります。短期離職時の返金規定あり(詳細は契約時に確認)。
成功報酬が定額であることのメリットは、採用人数が増えるほど1名あたりの単価が下がる点にもあります。基本利用料50万円は採用人数によらず固定のため、年に複数名を採用すると割安になります。
年間採用人数 | 総費用(基本+成功報酬) | 1名あたり採用単価 | 同条件を人材紹介(年収800万円×35%)で行った場合 |
1名 | 210万円 | 210万円 | 280万円 |
2名 | 370万円 | 185万円 | 560万円 |
3名 | 530万円 | 約177万円 | 840万円 |
年間2名以上の採用を見込めるなら、人材紹介と比べた費用優位はさらに大きくなります。
エンジニア採用全体のコスト最適化については「エンジニア採用コスト最適化ガイド」も参考になります。
4. 指名コメントの書き方|承諾率を決める最重要要素
転職ドラフトでは「指名コメント」が採用担当者の最大の武器です。テンプレート機能がなく1通ずつ手書きが必須という制約が、丁寧なコメントを書ける企業を有利にします。
承諾される指名コメントの3段構成
なぜあなたに指名するのか(Need you) — 候補者のGitHub・ブログ・職歴から読み取った「この人が必要な具体的な理由」
入社後に何を任せたいか(具体的なミッション) — 「技術リードしてほしい」ではなく「月間1億リクエストのAPIでキャッシュ設計を見直してほしい」レベルの解像度
なぜ現職より○万円高い提示をするのか(価値の根拠) — 年収を高く設定した理由を言語化する
多くの企業が「Give you(弊社はこれを提供できます)」のメッセージだけを書きます。優秀なエンジニアは好条件に慣れているため、「Need you(あなたのこのスキルが必要だ)」のメッセージでないと動きません。
NGの例:「スタートアップで技術課題がたくさんあります。○○さんのGoの経験を活かしていただきたい。」→誰にでも使い回せる内容で個人宛てに見えない。
OKの例:「○○さんのFoo OSS(GitHubで確認)でのキャッシュ設計と、現職でのマイクロサービス分割の経験を拝見しました。弊社は現在、月間1億リクエスト超のAPIでキャッシュ戦略の見直しを急いでおり、技術リードできる方を探しています。○○さんの経験がダイレクトに活きると確信し、現職を80万円上回る提示でご連絡しました。」
指名コメント作成の5ステップ手順
レジュメを最低20分かけて熟読する(スキルセットだけでなく職歴の文脈を読む)
GitHubやブログがあれば直近のコミット・記事内容を確認する
「今この人が必要な理由」を1文で言えるか自分でテストする
3段構成(Need you/ミッション/年収根拠)で400〜600文字にまとめる
現場エンジニアに技術的妥当性をレビューしてもらう(10分で十分)
指名コメントの質は「候補者のレジュメをどれだけ読んだか」に比例します(スカウト運用支援の現場から)。詳しくは「エンジニア向けスカウトメールの書き方」も参照してください。
5. 年収提示の戦略的な考え方
転職ドラフトの承諾調査では、最高年収を提示した企業が必ずしも選ばれるわけではありません。承諾に強く影響するのは次の3要素です。
指名理由の納得感 — 「なぜ私に指名したか」への答えが明確かどうか
技術環境・カルチャー — 自社開発・モダン技術・リモート可否
候補者の志向との合致 — キャリア軸と業務内容の一致
年収は「足切りを超えるライン」に設定できれば十分です。
株式会社リブセンスの発表によると、平均提示年収は2020年1月の644万円から2026年1月の816万円へと6年間で172万円上昇しています。年収600万円未満の提示では採用競争に参加しにくいのが現状です。
職種・スキル別の年収目安
転職ドラフトでの採用支援経験から、以下が参考目安となります(2026年上半期時点)。
ポジション | 競合に勝てる年収目安 |
バックエンドエンジニア(ミドル) | 700〜850万円 |
バックエンドエンジニア(シニア) | 850〜1,100万円 |
テックリード / エンジニアリングマネージャー | 950〜1,300万円 |
フルスタックエンジニア(シニア) | 800〜1,000万円 |
※これは「指名に返答してもらいやすいライン」の目安であり、最終提示額は候補者の経験・スキルと自社の予算を照合して決定してください。
実務的な提示手順:
候補者の現年収+15〜20%を「興味を持ってもらえるライン」の目安にする
「750〜900万円で提示可」という幅をCTO・経営層とドラフト前に承認しておく(当日決裁は時間ロス)
指名コメントに「なぜ現職より○万円高い提示か」の根拠を書く
年収レンジを広く設定すると「最低額で提示してくる企業」と見られるリスクがある。最初から本気の数字を出す方が返信率は高い
エンジニアの年収市場データについては「エンジニア年収相場2026|言語・職種別の市場データと採用オファー戦略」を参照してください。
6. 運用フローと工数の実態
転職ドラフトは月1回・約2週間のイベント形式です。「始まってから考える」では時間が足りません。事前準備が勝率を決めます。
開催前(1週間前):指名候補リストの確認、年収レンジのCTO合意、指名コメントの事前作成
開催中(約2週間):初日〜3日目に優先候補から指名実行。「興味あり」が届いたら48時間以内に面談設定を連絡する。
終了後:指名数・返答率・面談率を記録し次回の改善仮説を立てる。
月あたりの工数目安(採用担当者1名):
タスク | 工数目安 |
候補者リサーチ・レジュメ確認 | 4〜8時間 |
指名コメント作成(10〜20通) | 5〜10時間 |
面談対応・日程調整 | 2〜4時間 |
振り返り・次回準備 | 1〜2時間 |
レジュメ(プロフィール)の読み方
転職ドラフトのレジュメは審査を経ているぶん、他媒体より情報量が多く、使用技術・担当範囲・チーム規模・成果まで読み取れます。指名先を絞り込む前に、次の3点を確認すると見極めの精度が上がります。
技術スタックの深さ:「React・TypeScript使用」のような羅列ではなく、「Next.js App Routerを用いたECサイト再構築でLCPを4.8s→1.2sに改善」のように具体的な成果まで書けているかで実力差が出ます
チームサイズと役割の変化:3〜5人規模から10人規模でリードを担った、といった経験の変化は成長速度を示します。自社が求める規模感とのフィットも併せて確認します
課題解決の文脈:どんなビジネス課題を解決するために技術選定・設計をしたかが書かれているか。技術ありきでなく課題に向き合った経験は、入社後のパフォーマンスに直結します
指名対象候補者の優先順位付け
20名以上の候補者リストができた場合、すべてに同じ質のコメントを送ることは難しいです。以下の3軸でABC評価をつけ、A候補者から順に時間をかけてコメントを書きましょう。
スキルマッチ度:自社が探しているポジションの要件にどれだけ近いか
アウトプットの量と質:GitHubのコミット頻度・技術ブログの内容・登壇実績
転職意向の高さ:プロフィールの更新頻度・希望条件の具体性
評価をつけたら、指名枠は次の優先度で配分します。
最優先指名:自社の技術スタックと一致する実務3年以上、かつ直近プロジェクトが自社課題と親和性が高い候補者
次点指名:技術スタックは多少異なるが成長速度・問題解決力が高そうな候補者。年収の伸び幅を大きく取れる場合は積極的に指名する価値があります
見送り基準:直近2〜3年で1年未満の転職を繰り返している、または自社の開発フェーズと合わない経験のみ(大規模保守の経験しかない候補者にスタートアップのゼロイチを求める等)
スカウト運用全体のPDCA改善については「スカウト運用のPDCA改善ガイド」も参考になります。
7. 体制づくりと面談での差別化
転職ドラフトの採用は「採用担当者だけで完結させる」のが最大の失敗パターンです。理想の役割分担:
役割 | 担当 | タスク |
指名リスト作成 | 採用担当者 | 候補者スクリーニング・優先順位付け |
コメントレビュー | 現場エンジニア/TL | 技術的妥当性の確認 |
年収決裁 | CTO/経営層 | 提示年収の最終承認 |
巻き込み方のコツは「依頼範囲を絞る」こと。「このレジュメを読んでGoスキルを10分で評価してほしい」という依頼なら動いてもらいやすい。
面談での差別化4ポイント:
技術課題の解像度(「N+1問題の解決をリードしてほしい」等の具体性)
意思決定スピード(3〜4週間以内クロージング)
条件のオープンさ(株式報酬・リモート可否を初回面談で開示)
現場エンジニアとの接点(採用担当者だけの面談で終わらせない)
オファー面談の設計は「エンジニア採用のオファー面談完全ガイド」を参照してください。
8. 転職ドラフトと媒体ミックスの考え方
転職ドラフト単体では採用ニーズの全てを満たせません。以下の使い分けが現実的です。
転職ドラフトが強い場面:
年収700〜1,000万円帯のシニアエンジニア採用
転職潜在層へのアプローチ
固定成功報酬での採用コスト管理
他媒体で補完すべき場面:
年収400〜600万円帯の若手 → Green・Wantedly
GitHubスコアで評価したい → Findy・LAPRAS
即転職意向の強い顕在層 → BizReach・doda
カルチャー発信・ファン作り → Wantedly
媒体ごとの相性を候補者の層で整理すると、転職ドラフトの守備範囲がより明確になります。
転職ドラフトが得意な層:Web系・SaaS系の実務3年以上、バックエンド(Go/Python/Ruby/Scala等)、フロントエンド(TypeScript/React/Next.js等)、フルスタック〜テックリード層、転職に積極的な30〜40代前半。
転職ドラフトが不得意な層(他媒体との組み合わせ推奨):組み込み・IoT・レガシー技術専門(専門媒体)、新卒・第二新卒(未経験可の媒体)、フリーランスから正社員転換(YOUTRUST等)。
スタートアップ(シリーズA〜B)の推奨構成:「転職ドラフト(シニア・テックリード層)+Findy(若手〜ミドル層)+Wantedly(カルチャー発信)」の3媒体が現実的です。コア人材を転職ドラフトで刈り取りつつ、将来を見据えた若手採用をFindyで並行して回せます。
主要採用媒体の選び方については「エンジニア採用媒体の選び方|13サービス比較」を参照してください。Findyの詳細は「Findyエンジニア採用完全ガイド」も参考になります。
FAQ(よくある質問)
Q1. 小規模スタートアップでも使えますか?
使えます。登録エンジニアはスタートアップ志向が強く、面白い技術課題がある会社は刺さりやすいです。年収提示の水準(700〜800万円以上)を用意できるかが前提条件です。資金調達を終えたシリーズA以降での活用が最も効果的です。
Q2. 指名コメントの適切な文字数は?
400〜600文字が目安。長文より「なぜこの人に指名したか」の明確さが重要です。レジュメの内容に直接言及した文言が1文以上入っているかどうかを最低基準にしてください。
Q3. 毎回ドラフトに参加すべきですか?
採用ニーズがある限り毎回参加を推奨します。見送ると1ヶ月タイムロスです。候補者リストが少ない月は質の高い指名を10〜15通に絞る方が結果が出ます。
Q4. 返答がない(拒否)場合の主な原因は?
3つの主要原因があります。①提示年収が現年収を下回っている、②指名コメントが汎用的で個人宛てに見えない、③候補者が現在転職意向がない——です。①②は次回から改善できます。③は次回ドラフトに持ち越してください。
Q5. 成功報酬160万円は高いですか?
年収600万円以上の採用であれば人材紹介(年収の30〜35%)より安くなります。シニアエンジニア採用ではコスパ良。年収500万円以下には割高感があります。採用コスト全体の比較は「エンジニア採用コスト最適化ガイド」を参照してください。
Q6. ドラフト期間外にもアプローチできますか?
ドラフト形式と別に常時スカウト型のサービスも提供しています。詳細はサービス担当者に確認してください。
Q7. 他のダイレクトリクルーティング媒体と何が一番違いますか?
「スカウト前に年収が確定する」という構造が最大の違いです。一般媒体では選考後に年収交渉が発生し、ミスマッチ辞退が起きやすい。転職ドラフトでは条件合意の上で面談に入れるため、選考効率が全く異なります。ただし、年収水準を高く設定できない企業にとっては競合に勝ちにくい構造でもあります。
Q8. 転職ドラフトで採用できるエンジニアのレベル感は?
参加エンジニアの平均提示年収が816万円(2026年1月実績)であることから、ミドル〜シニア層が中心です。ジュニア層の採用には向いていません。テックリード・シニアエンジニア・バックエンドスペシャリスト層の採用で最も費用対効果が出ます。
Q9. 人材紹介と同じ候補者が重複した場合はどうなりますか?
同じ候補者に対して人材紹介会社からの紹介が先に入っていた場合、転職ドラフト経由の指名条件が優先されない可能性があります。トラブルを避けるためにも、重複が疑われるケースの扱いは事前に運営へ確認しておくことをおすすめします。
Q10. 転職ドラフトで採用すると既存社員との年収逆転は避けられますか?
年収提示型の採用である以上、既存社員との逆転が起きる可能性はあります。これは転職ドラフトに限らず、採用市場が高騰する中で多くの企業が直面している課題です。採用を機に既存社員の報酬テーブル見直しを同時に進めることで、中長期的な採用競争力と定着率を両立させるアプローチが有効です。報酬設計の考え方は「エンジニアの報酬設計ガイド」も参照してください。
9. スタートアップが大手に勝つための戦略
同じ候補者に大手企業とスタートアップが同時に指名を送ると、年収水準だけなら大手が有利に見えます。しかし転職ドラフトには、スタートアップが勝てる要素が複数あります。
意思決定の速さで差をつける
大手企業は年収テーブルに縛られ、指名額の決定に社内稟議が必要なケースが多いです。一方スタートアップは「CTOやCEOが即決できる」という構造的な優位があります。指名開始後24〜48時間以内に送れるかどうかは、承諾率に直結します。
ミッション共感・裁量の大きさで勝負する
転職ドラフトに登録するエンジニアの一定数は「大企業での分業や社内調整に疲れて、もっとオーナーシップを持って働きたい」という動機を持っています。特に審査を通過した優秀層ほど、年収より仕事の中身・裁量・成長環境を重視する傾向があります。
スタートアップが指名コメントで伝えるべきは「今こういう課題があって、あなたに解決してほしい」という切実感と、「あなたが判断できる範囲はここまで広い」というオーナーシップの大きさです。
少人数チームでも採用できる理由
スタートアップ・ベンチャーが転職ドラフトで採用に成功したケースの共通点は、支援実務で見ている限り「具体的な技術課題への指名理由」と「ミッションへの共感を丁寧に伝えた指名コメント」です。社員数10名前後の企業が大手と競合し、面談承諾を勝ち取っている事例は少なくありません。
転職ドラフトが向いているスタートアップの特徴
技術課題が明確:何を作っていて何で詰まっているかを率直に話せる
意思決定が速い:年収提示をCEO/CTOが即断できる体制がある
少数精鋭を目指している:1〜3名の採用で大きなインパクトを出せるフェーズ
現場エンジニアを採用に巻き込める:CTOが候補者選定に関与できる時間的余裕がある
10. 転職ドラフトを活用した採用ブランディング戦略
転職ドラフトは「採用媒体」としてだけでなく、自社の採用ブランディングを強化する場としても機能します。なぜなら、ドラフト参加企業の指名内容(企業名・提示年収・どんなエンジニアを求めているか)が参加エンジニア全員に可視化されるからです。
採用支援先でよく見るのが「自社の技術課題を指名コメントで解像度高く語れるようになった結果、採用ブランドが強化された」という副次効果です。優れた指名コメントは採用担当者とエンジニアのブランディング資産にもなります。
採用ブランディングに効く指名コメントの書き方
採用ブランドを高めるには、個別の候補者への指名コメントに加えて、会社全体として「どんな技術課題に取り組んでいるか」を一貫して語ることが重要です。
技術的な具体性:「スケーラビリティ」「パフォーマンス改善」などの抽象的な言葉を避け、「月間1億リクエストのAPIボトルネック解消」「Python→Goへの移行プロジェクトのリード」など固有の課題を書く
チームの状況:エンジニア人数・技術スタック・開発スタイル(モノレポ・マイクロサービス等)を一言添える
リモート・フレックスの明示:働き方への言及は開封率に影響する。フルリモート可であれば積極的に書く
テックブログやDevRelと組み合わせることで、転職ドラフト経由の問い合わせが増えるケースも多いです。詳しくは「テックブログでエンジニア採用力を高める技術広報の始め方ガイド」を参照してください。
11. AIを活用した転職ドラフト運用の効率化
2026年現在、AI(Claude・ChatGPT等)を活用して指名コメントの下書きを生成する採用担当者が増えています。AI活用の適切な使い方と注意点を整理します。
AIをうまく活用できる領域
候補者プロフィールのサマリー生成:長いレジュメを要約し、「どのスキルが自社のニーズと合致するか」を整理する作業にAIを使う
指名コメントの初稿生成:候補者情報と自社の課題を入力として渡し、3段構成の下書きを作らせる
年収提示の根拠文作成:市場データと候補者スキルを組み合わせた根拠文の参考案を生成させる
AIに任せてはいけない部分
重要なのは「AIで作った下書きをそのまま送らない」ことです。転職ドラフトの候補者は優秀なエンジニアが多く、テンプレ文章やAI生成コンテンツは即座に見抜かれます。AIは初稿を作る補助ツールとして使い、候補者のGitHubや具体的なプロジェクト内容への言及は必ず自分で書き加えてください。
採用全体のAI活用については「AIスカウト自動化とパーソナライズ設計」も参照してください。
12. 転職ドラフトの失敗パターンとその対策
転職ドラフトを複数社の採用支援で使ってきた経験から、よく見る失敗パターンと対策を整理します。
失敗1:初回から指名数を増やしすぎる
ドラフト開催中に「とにかく多く指名すれば返信が来る」と考えて30〜50通を送ってしまうケースがあります。転職ドラフトはコメントの質が命であり、量を追うと全体の質が下がります。初回は10〜15通に絞り、1通ごとに時間をかけたコメントを書くことから始めましょう。
失敗2:「興味あり」が届いた後のレスポンスが遅い
候補者が「興味あり」を押した後、48時間以内に面談設定の連絡が届かないと、候補者の熱量は急速に下がります。ドラフト開催中は採用担当者が毎日確認できる体制を作り、当日・翌日に面談候補日を提案する運用にしましょう。
失敗3:採用担当者だけで面談を完結させる
転職ドラフトの候補者は技術レベルが高く、採用担当者との会話だけでは技術的な疑問が解消されません。初回面談から現場エンジニア(可能であればTL・テックリード)を参加させることで、候補者の技術的な問いに答えられる体制を作りましょう。
失敗4:3〜4回参加しても改善しない
毎回同じ結果が出るのは「ドラフトの振り返りをしていない」ことが原因です。開催後に以下を記録する習慣をつけましょう。
指名した候補者のリスト(返答有無・選考状況)
高返信率のコメントと低返信率のコメントの違い
面談に進んだ候補者が「何に興味を持ったか」(面談の場で直接聞く)
まとめ:転職ドラフトで採用成功するための3原則
転職ドラフトは「高い年収を提示すれば採用できる」媒体ではありません。成功企業に共通する3原則をまとめます。
候補者のレジュメを本気で読む — 10通の質の高い指名が、100通のテンプレ指名より結果を出します。GitHubやブログへの言及が返信率を大きく変えます
現場エンジニアを巻き込む — 採用担当者だけでは書けない「技術的な具体性」が指名コメントに必要です。CTOや現場エンジニアの関与体制を作ってください
PDCAサイクルで回す — 月1回のドラフトを毎回振り返る。初回から完璧は無理で、3〜6回参加すると自社のパターンが見えてきます
採用活動全体の媒体選定については「エンジニア採用媒体の選び方|13サービス比較」も参考にしてください。採用活動の見直しを検討している方は、techcellarのスカウト運用代行サービスもご活用ください。指名コメント設計から年収戦略まで一緒に考えます。
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