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Tips エンジニア採用のヒント

updated_at: 2026/3/30

エンジニア採用計画の立て方|事業目標から逆算する要員計画と予算設計

事業計画から逆算してエンジニア採用計画を立てる手順と予算・スケジュール設計の実践手法を解説

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TL;DR(この記事の要約)

  • エンジニア採用計画は「今すぐ人が足りない」からではなく、事業計画・プロダクトロードマップから逆算して設計する

  • ヘッドカウント(採用人数)は「開発チームのキャパシティ」と「事業目標の達成に必要な工数」のギャップから算出する

  • 採用予算は人材紹介・媒体費・ツール費・人件費の4軸で組み、採用単価(CPA/CPH)を事前に試算しておく

  • スケジュールはリードタイム逆算が鉄則。エンジニア採用は平均2〜4か月かかるため、入社希望月の4か月前には選考開始が目安

  • 計画は作って終わりではなく、四半期ごとの見直しサイクルを回すことで精度が上がる


エンジニア採用計画の立て方|事業目標から逆算する要員計画と予算設計

Maker Launch Illustration

「来期はエンジニアを何人採るべきか?」「採用にいくら予算をつければいいのか?」

スタートアップや成長企業の経営者・人事担当者が毎期ぶつかるこの問いに、自信を持って答えられる人は多くない。採用計画が曖昧なまま走り出すと、「人が足りない」と慌てて求人を出し、紹介フィーで予算オーバー、入社タイミングもバラバラ、という悪循環に陥りがちだ。

この記事では、事業計画からエンジニアの採用計画を逆算して立てる方法を、ヘッドカウント設計・予算策定・スケジュール設計・関係者合意まで一気通貫で解説する。

このページでわかること:

  • 事業目標からエンジニア採用人数を算出する具体的な手順

  • 採用チャネル別の予算配分と採用単価の考え方

  • リードタイムを逆算したスケジュールの引き方

  • 経営層・現場エンジニアとの合意形成プロセス

  • 計画の見直しサイクルと改善の回し方


1. なぜ「採用計画」がエンジニア採用の成否を分けるのか

Metrics Illustration

行き当たりばったりの採用が失敗する理由

エンジニア採用市場は過熱が続いている。2026年1月時点のITエンジニアの新規有効求人倍率は3.4倍(出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」)。つまり、1人のエンジニアに対して3社以上が争っている状況だ。

この環境で「今すぐ人が欲しい」と急いで動いても、優秀な候補者はすでに他社の選考を進めている。計画なしの採用活動には次のようなリスクがある。

  • 採用リードタイムが読めず、プロダクト開発が遅延する

  • 採用予算がコントロールできず、高額な紹介フィーに依存する

  • 「誰でもいいから」のマインドで妥協採用が増え、定着率が下がる

  • 現場と経営の認識がズレて、入社後のミスマッチが起きる

採用計画があると何が変わるか

逆に、しっかりした採用計画があると次のメリットが生まれる。

  • 先手を打てる: 必要なタイミングの4か月前からアクションを起こせる

  • 予算が最適化される: チャネルミックスを事前に設計し、コストをコントロールできる

  • 関係者の目線が揃う: 「なぜこのポジションを採るのか」の根拠が共有される

  • PDCAが回る: 計画値と実績値の差分から改善策を打てる

採用計画とは、採用活動のガイドラインだ。これがないまま走ると、毎回ゼロから意思決定を繰り返すことになる。


2. ヘッドカウント(採用人数)を事業計画から算出する方法

ステップ1: 事業目標を分解する

採用人数は経営の「願望」ではなく、事業計画から論理的に導き出す。以下の流れで分解しよう。

事業目標(例):

  • 来期の売上目標: 前年比150%

  • 新プロダクトを来年Q3にローンチ

  • 既存プロダクトの技術的負債を30%削減

必要な開発リソースの推定:

  • 新プロダクト開発チーム: バックエンド2名 + フロントエンド1名 + インフラ1名

  • 既存プロダクトの改善: 専任エンジニア2名

  • 退職補充(年間離職率を考慮): 1名

ステップ2: 現在のチームキャパシティを棚卸しする

「何人足りないか」を正確に出すには、今のチームの実力値を正直に把握する必要がある。

確認すべき項目は以下のとおり。

  • 現在の開発メンバー数(正社員・業務委託・インターン別)

  • 各メンバーのスキルセット(得意領域・技術スタック)

  • 稼働率(ミーティングや採用面接で開発に使えない時間はどれくらいか)

  • 直近半年の退職者数と退職理由

ステップ3: ギャップを算出する

事業目標に必要なリソースから、現在のキャパシティを引く。これがヘッドカウントの原案になる。

ただし、ここで注意すべきポイントがある。

  • 全員が予定どおりに採用できるわけではない: 辞退・不合格を見込んで、母集団は2〜3倍必要

  • 入社までのリードタイムを加味する: 内定から入社まで1〜2か月かかるのが一般的

  • 業務委託・副業人材で埋められる部分はないか: 正社員にこだわらない選択肢も検討する

ステップ4: ポジション別の優先順位をつける

リソースは限られている。全ポジションを同時に採用するのは現実的ではないことが多い。

優先順位のつけ方は次の基準で整理する。

優先度

基準

最優先(Must)

これがないと事業計画が頓挫する

CTOポジション、新プロダクトのテックリード

高(Should)

事業目標の達成確度が大きく下がる

バックエンドエンジニア

中(Nice to have)

あると加速するが、なくても回る

QAエンジニア、DevOps

この優先順位は経営層・プロダクトマネージャー・現場のテックリードの3者で合意しておくことが重要だ。後から「やっぱりこっちのポジションが先」という変更が頻発すると、採用活動は混乱する。


3. 採用予算の組み方と採用チャネル設計

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採用にかかるコストの全体像

エンジニア採用の予算を組む際、多くの企業が「人材紹介のフィー」しか計算していない。だが、実際にかかるコストはもっと広い。

採用コストの4分類:

  1. 外部コスト(直接費)

    • 人材紹介手数料(年収の30〜35%が相場)

    • スカウト媒体の利用料(月額5〜30万円程度が一般的)

    • 求人広告掲載費

    • 採用イベント参加費・自社イベント開催費

  2. 内部コスト(人件費)

    • 採用担当者の工数(1名あたり月40〜80時間は珍しくない)

    • 面接官(エンジニア)の工数

    • リファラル紹介インセンティブ

  3. ツール・システム費

    • ATS(採用管理システム)利用料

    • スカウト配信ツール

    • コーディング試験プラットフォーム

  4. 間接コスト

    • 採用ブランディングにかかる記事制作・動画制作費

    • テックブログ運用の工数

採用単価(CPH: Cost Per Hire)の試算

採用単価は以下の式で算出する。

エンジニア採用の場合、人材紹介経由だと1人あたり150〜250万円程度になることが多い。スカウト媒体やリファラルを組み合わせると、80〜150万円程度まで下げられる可能性がある。

チャネルミックスを設計する

予算を最適化するには、複数のチャネルを組み合わせる「チャネルミックス」の発想が大切だ。

チャネル別の特徴:

チャネル

採用単価目安

スピード

母集団の質

工数

人材紹介

高(150〜250万)

速い

安定

低い

スカウト媒体

中(50〜100万)

やや遅い

高い

高い

リファラル

低(10〜30万)

読めない

非常に高い

自社メディア/SNS

低(10〜20万)

遅い

高い

高い

技術イベント

中(30〜60万)

遅い

高い

高い

スタートアップにありがちな「人材紹介100%依存」は採用単価が高止まりする原因になる。まずはリファラルとスカウト媒体で母集団を確保し、緊急度の高いポジションだけ人材紹介を使う、というバランスが現実的だ。

予算配分のサンプル

年間3名のエンジニア採用を目指す場合の予算例を示す。

項目

金額

備考

人材紹介(1名分)

180万円

年収600万 x 30%

スカウト媒体(年間)

120万円

2媒体 x 月5万 x 12か月

リファラルインセンティブ

30万円

1名成功 x 30万

ATS/ツール

36万円

月3万 x 12か月

採用ブランディング

24万円

テックブログ・イベント

合計

390万円

1人あたり約130万円

もちろんこれはあくまで一例だ。自社の状況に合わせてシミュレーションし、経営層と合意を取ろう。


4. スケジュール設計|リードタイムを逆算して採用計画を引く

エンジニア採用のリードタイムを知る

エンジニア採用は一般職と比べてリードタイムが長い。各フェーズの目安は以下のとおり。

フェーズ

所要日数(目安)

求人票作成・チャネル準備

1〜2週間

母集団形成(応募が集まるまで)

2〜4週間

書類選考〜最終面接

2〜4週間

内定提示〜承諾

1〜2週間

承諾〜入社

1〜2か月

合計

約2.5〜4か月

つまり、「来期の4月に入社してほしい」なら、遅くとも12月には選考を始める必要がある。もっと言えば、スカウト媒体やリファラルを仕込むなら11月には動き出したい。

四半期ごとの採用カレンダーを作る

年間の採用計画を四半期に分解し、「いつ・何をするか」を明確にしよう。

カレンダー例(4月入社の場合):

時期

アクション

10月〜11月

要件定義・求人票作成・チャネル準備・リファラルキックオフ

11月〜12月

スカウト配信開始・人材紹介に依頼・応募受付開始

12月〜1月

書類選考・カジュアル面談・一次面接

1月〜2月

二次面接・コーディング試験・最終面接

2月〜3月

内定提示・オファー面談・承諾確認

4月

入社・オンボーディング開始

複数ポジションの採用を並行する場合のコツ

3名以上のエンジニアを同時期に採用する場合、ポジションごとに時期をずらすのが現実的だ。

並行採用のタイムライン例(年間3名の場合):

ポジション

選考開始

内定目標

入社目標

バックエンドエンジニア(最優先)

11月

1月

4月

フロントエンドエンジニア

1月

3月

6月

インフラエンジニア

3月

5月

8月

こうすることで、採用担当者の負荷を分散しながら、通年で計画的に採用を進められる。

スケジュールで陥りがちなミス

  • 「面接官のスケジュールが取れない」で選考が止まる: 面接官のカレンダーを事前にブロックしておく。週に2〜3コマの面接枠を固定で確保するのがおすすめ

  • 全ポジションを同時に動かして手が回らなくなる: 優先度の高い1〜2ポジションから着手し、内定が出たら次のポジションに着手する

  • 内定後のフォローが手薄で辞退される: 承諾までの期間に候補者と定期的に接点を持つ。月1回のランチや、チームメンバーとのカジュアルな交流を設定する

  • 転職市場の繁忙期を考慮していない: 一般的に1〜3月と9〜10月は転職活動が活発化する。この時期に合わせて母集団形成のアクションを強化すると効率がよい

リードタイムの目安を詳しく知りたい方は、エンジニア採用リードタイム短縮ガイドも参考にしてほしい。


5. 要件定義のコツ|「欲しい人材像」を採用可能なレベルに落とし込む

Ideas Illustration

理想を追いすぎると誰も採れない

採用要件を定義するとき、現場エンジニアに聞くと「フルスタックで、リーダー経験があって、英語もできて…」と条件が膨れ上がることがある。いわゆる「ユニコーン人材」を探し始めると、いつまで経っても採用できない。

Must / Nice to have を分離する

要件は必ず「Must(必須条件)」と「Nice to have(歓迎条件)」に分ける。

分離の基準:

  • Must: 入社初日から必要なスキル。これがないと業務が回らない

  • Nice to have: 入社後にキャッチアップ可能なスキル。あれば即戦力度が上がる

良い要件定義の例:

Must

Nice to have

Go or Python でのバックエンド開発経験3年以上

Kubernetes の運用経験

RDBの設計・チューニング経験

GraphQL の実装経験

チームでの開発経験

テックリード・メンター経験

年収レンジと要件のバランスを取る

要件を高く設定するなら、それに見合った報酬を出す覚悟が必要だ。「シニアレベルの要件で、ジュニアレベルの年収」では候補者に見向きもされない。

市場の年収相場を把握したうえで、要件と報酬のバランスを経営層とすり合わせよう。報酬設計について詳しくは、エンジニア採用で勝つための報酬設計と年収戦略の完全ガイドを参照してほしい。

求人票への落とし込み

要件が固まったら、求人票(JD)に反映する。「技術スタック」「任せたいこと」「チーム構成」「なぜこのポジションが必要なのか」を明確に書くことで、応募の質が上がる。

求人票の書き方については、エンジニアが応募したくなる求人票の書き方完全ガイドで詳しく解説している。


6. 経営層・現場エンジニアとの合意形成プロセス

なぜ合意形成が重要なのか

採用計画は人事だけで完結しない。経営層の予算承認と、現場エンジニアの要件合意がなければ、計画は絵に描いた餅になる。

よくあるトラブルの例を挙げよう。

  • 人事が採用計画を立てたが、経営層に「その人数は多すぎる」と却下される

  • 現場が「即戦力が欲しい」と言うが、提示できる年収では見つからない

  • 面接で現場のエンジニアが「自分の基準」で不合格を出し続け、いつまでも採用できない

合意形成の3ステップ

ステップ1: 現場ヒアリング

現場のテックリードやEMに「なぜそのポジションが必要か」「いつまでに必要か」「どんなスキルが最低限必要か」をヒアリングする。このとき、定性的な「優秀な人が欲しい」ではなく、定量的な情報を引き出すことがポイントだ。

ヒアリングで聞くべき具体的な質問:

  • 現在のスプリントで消化できているチケット数と、理想の消化数のギャップは?

  • 直近3か月で「人が足りないせいで後回しにしたタスク」は何か?

  • 新しいメンバーに最初の1か月で任せたい業務は何か?

  • どの技術スタックの経験が「なければ業務にならない」レベルか?

ステップ2: 経営層へのプレゼン

経営層には「事業インパクト」の言葉で説明する。

  • 「エンジニアを3名採用しないと、新プロダクトのローンチが3か月遅れる」

  • 「採用予算390万円に対し、プロダクトの売上見込みは年間○○万円」

  • 「採用しない場合の機会損失はこれだけある」

ROI(投資対効果)を数字で示すことで、予算承認のハードルが下がる。

ステップ3: 選考基準のすり合わせ

面接官となるエンジニアと「合格ラインはここ」を事前に明確にする。構造化面接のスコアシートを作るのが理想だ。「なんとなく良い・悪い」ではなく、「この項目が3以上ならPass」という基準を共有する。

選考基準の設計については、エンジニア採用の構造化面接設計ガイドが参考になる。


7. 採用計画の見直しサイクル|四半期レビューで精度を上げる

計画は「生きもの」として扱う

採用計画は年初に作って終わりではない。市場環境の変化、事業計画の修正、予想外の退職など、前提条件は常に動いている。

四半期ごとにレビューを行い、計画をアップデートすることで精度が上がっていく。

レビューで確認すべき5項目

  1. 採用進捗: 目標人数に対して何名内定・入社しているか

  2. チャネル別パフォーマンス: どのチャネルから何名応募があり、何名通過したか

  3. 採用単価の実績: 想定どおりか、超過しているか

  4. リードタイム実績: 想定より長くなっていないか

  5. 事業計画の変更: 新規プロジェクトの追加・中止はないか

KPIダッシュボードとの連携

採用計画のレビューは、KPIダッシュボードと連携させると効率的だ。計画値と実績値を並べて可視化し、差分が大きい部分にフォーカスして改善する。

KPIの設計方法については、エンジニア採用KPI完全ガイドを参照してほしい。

計画変更時のコミュニケーション

計画を変更したら、必ず関係者にすぐ共有する。「知らないうちにポジションが増えていた」「いつの間にか予算が削られていた」といった情報の非対称性が、現場の不信感につながる。

Slackやドキュメントで「採用計画 変更ログ」を残し、変更理由と影響範囲を明文化しておくとよい。


8. スタートアップが陥りがちな採用計画の落とし穴と対策

落とし穴1: 「CTO/VPoEを採れば全部解決する」思考

創業初期のスタートアップで「とにかくCTOを採りたい」という声は多い。だが、CTO級の人材は市場に極めて少なく、採用には半年以上かかることも珍しくない。特にスタートアップのCTOは「技術力 x 経営視点 x カルチャーフィット」の3つが揃っている必要があり、条件を満たす候補者の母集団は極端に小さい。

対策: CTOポジションの採用を進めつつ、並行して「今のフェーズで必要な開発力」をミドル〜シニアエンジニアや業務委託で確保する。CTOの採用だけに賭けると、その間の開発が完全に止まるリスクがある。週1〜2日の技術顧問(副業CTO)を置いてアーキテクチャの方向性を担保しつつ、実装力のあるエンジニアから採用する、という二段構えが現実的だ。

エンジニアリングマネージャーの採用については、CTO・VPoE・EM採用を成功させるガイドも参照してほしい。

落とし穴2: 年収相場を無視した予算設計

「うちはスタートアップだから、大手より年収は低くて当然」という前提で予算を組むと、応募がゼロになる。エンジニアは市場価値に敏感だ。

対策: 年収相場を調査し、キャッシュで足りない分はストックオプション・柔軟な働き方・技術的チャレンジなど、金銭以外の魅力で補完する。ただし「やりがい」だけで年収の差を埋めようとするのは無理がある。最低限、市場の70〜80%以上の水準は確保したい。

落とし穴3: 採用計画 = 人事の仕事という認識

エンジニア採用は人事だけで成功するものではない。CTOやテックリードが採用に関与しないと、候補者に自社の技術的な魅力を伝えられず、選考辞退が増える。

対策: 採用計画の策定段階からエンジニアを巻き込む。面接だけでなく、求人票のレビュー、スカウト文面の作成、カジュアル面談の対応まで、エンジニアが関与する体制を作る。

落とし穴4: 全ポジションを同時に採用しようとする

5ポジションを同時に動かすと、面接調整だけで採用担当者がパンクする。結果、候補者への返信が遅れ、離脱が増える。

対策: 前述の優先順位に従い、同時に動かすのは2〜3ポジションまでに絞る。採用担当のキャパシティも「採用計画の制約条件」として考慮すべきだ。


9. 採用計画テンプレート|すぐに使えるフレームワーク

ここまでの内容を踏まえ、採用計画に盛り込むべき項目をテンプレートとして整理する。

採用計画書の構成

1. 背景・目的

  • 事業計画の概要

  • 現在の開発体制と課題

  • 採用によって実現したいこと

2. ヘッドカウント

  • ポジション一覧(職種・レベル・人数)

  • 優先順位(Must / Should / Nice to have)

  • 各ポジションの採用理由

3. 要件定義

  • 各ポジションのMust / Nice to have スキル

  • 年収レンジ

  • 雇用形態(正社員 / 業務委託 / 副業)

4. 予算

  • チャネル別の予算配分

  • 採用単価の目標値

  • 合計予算

5. スケジュール

  • ポジション別の採用タイムライン

  • マイルストーン(選考開始・内定目標・入社日)

6. チャネル戦略

  • 利用するチャネルと期待する成果

  • チャネル別のKPI

7. 体制

  • 採用担当者の役割分担

  • 面接官のアサイン

  • 意思決定者

8. リスクと対策

  • 採用が計画どおり進まない場合の代替案

  • 予算超過時の対応方針

このテンプレートをベースに、自社の状況に合わせてカスタマイズしよう。最初から完璧を目指す必要はない。まずは骨子を作り、四半期ごとにブラッシュアップしていけばよい。

作成時のポイント

  • A4で3〜5枚に収める: 長すぎる計画書は誰も読まない。意思決定に必要な情報だけに絞る

  • 数字で語る: 「できるだけ早く」ではなく「Q2までに2名」のように定量化する

  • 前提条件を明記する: 「離職率5%を前提とする」「年収レンジは市場の中央値を基準とする」など、計画の根拠となる前提を書いておくと、見直しのときに判断がしやすい

  • リスクシナリオを用意する: 「計画どおりに進んだ場合」「50%しか達成できなかった場合」の2パターンでシミュレーションしておくと、経営層への説明にも使える


10. 正社員だけに頼らない採用計画のアップデート

Engineering Team Illustration

正社員採用の限界を認識する

エンジニア採用の計画というと「正社員を何名採るか」だけを考えがちだが、2026年の採用環境ではそれだけでは回らないケースが増えている。

  • 正社員の採用リードタイムは2〜4か月。急な開発ニーズに対応できない

  • ニッチな技術領域(例: セキュリティ、SRE、データエンジニアリング)は正社員での採用が困難

  • フルタイムのコミットを求めると、副業で実力を発揮しているシニアエンジニアを逃す

雇用形態のポートフォリオを組む

採用計画には、正社員以外の選択肢も組み込もう。

雇用形態

向いているケース

注意点

正社員

コア業務、長期的なコミット

採用リードタイムが長い

業務委託(フリーランス)

短期プロジェクト、専門スキル

ナレッジの蓄積が課題

副業人材

週1〜2日の専門知見提供

マネジメント工数がかかる

インターン

ジュニア層の育成・採用パイプライン

戦力化に時間がかかる

たとえば「正社員2名 + 業務委託1名 + 副業人材1名」という組み合わせで、正社員だけの採用計画よりも柔軟かつスピーディにチームを構築できる。

副業・業務委託の活用について詳しくは、副業・業務委託エンジニアの活用で採用力を強化する完全ガイドを参照してほしい。


FAQ(よくある質問)

Q1. 採用計画はどのタイミングで作るべきですか?

A. 理想的には、事業計画の策定と同時に作成するのがベストだ。多くの企業では年度の事業計画を9〜11月に策定するので、そのタイミングで翌年度の採用計画も並行して作る。ただし、「計画がないからまだ動けない」と考えるのはもったいない。今から作り始めても遅くない。まずは3か月分の短期計画から始めて、徐々にスパンを伸ばしていこう。

Q2. 少人数のスタートアップでも採用計画は必要ですか?

A. むしろ少人数だからこそ必要だ。10人の会社で1人採用すると組織の10%が変わる。誰を採るかの判断が事業に与えるインパクトは、大企業よりスタートアップのほうがはるかに大きい。ただし、大企業のような精緻な計画は不要。「次の3か月で何人、どんな人を、いくらで採るか」が書かれたA4 1枚の計画で十分だ。

Q3. 採用計画の人数が達成できない場合はどうすればいいですか?

A. まず原因を特定する。「応募が少ない」のか「選考で落ちる」のか「内定辞退が多い」のかで打ち手はまったく違う。応募が少ないならチャネル追加や要件緩和を検討する。選考通過率が低いなら要件が高すぎる可能性がある。内定辞退が多いならオファー条件や候補者体験の見直しが必要だ。詳しくはエンジニア採用の選考フロー設計完全ガイドを参照してほしい。

Q4. 採用予算を経営層に承認してもらうコツは?

A. 「採用しないことのコスト」を数字で示すのが最も効果的だ。たとえば「エンジニア1名の採用が3か月遅れると、プロダクトローンチが3か月遅延し、売上機会損失は○○万円」という形で、採用投資のROIを示す。また、チャネルミックスによるコスト最適化の提案もセットにすると、「ちゃんと考えている」感が伝わり、承認されやすくなる。

Q5. 計画を立てても、急な退職で計画が崩れたらどうしますか?

A. 急な退職は起こりうるものとして、あらかじめバッファを計画に組み込んでおくのが理想だ。過去の離職率から「年間○名は退職補充が必要」と見積もっておく。また、タレントプールを日頃から構築しておけば、急な欠員にも比較的早く対応できる。タレントプールの構築方法はエンジニア採用タレントプール構築・運用ガイドを参照してほしい。

Q6. 人材紹介と自社採用(ダイレクトリクルーティング)はどう使い分けるべきですか?

A. 基本方針は「緊急度が高いポジションは人材紹介、中長期のポジションはダイレクトリクルーティング」だ。人材紹介は初期コストなしで候補者を紹介してもらえるが、成功報酬が高い。スカウト媒体は工数がかかるが、候補者と直接関係を構築でき、採用単価を抑えられる。理想は両方を並行して走らせつつ、徐々にダイレクトリクルーティングの比率を上げていくことだ。

Q7. 採用計画はどの粒度で管理すべきですか?

A. 最低限、「ポジション名・人数・優先度・想定年収レンジ・目標入社月・利用チャネル」の6項目をポジション別に管理する。スプレッドシートで十分だ。これに加えて、月次で「応募数・選考通過数・内定数・採用数」の実績を記録していくと、PDCAが回しやすくなる。


まとめ・次のアクション

エンジニア採用計画は、事業の成長を支える「土台」だ。計画なしに走り出すのは、地図なしで登山をするようなものである。

今日からできるアクション:

  1. 事業計画を確認する: 来期のプロダクトロードマップと開発目標を経営層・プロダクトマネージャーに確認する

  2. 現在のチーム状況を棚卸しする: メンバー数、スキルセット、稼働率、退職リスクを整理する

  3. ギャップを算出する: 必要なリソースと現在のキャパシティの差分からヘッドカウントを出す

  4. 優先順位をつける: 全ポジションをMust / Should / Nice to haveに分類する

  5. 予算とスケジュールを引く: チャネルミックスを設計し、リードタイムを逆算してカレンダーに落とす

「計画を立てる時間がない」と思うかもしれないが、計画に1日かけることで、3か月後の採用成果は大きく変わる。


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