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Tips エンジニア採用のヒント

公開: 2026/4/12|更新: 2026/9/28

スカウト候補者検索の完全ガイド|媒体別サーチ術と検索条件設計

スカウト媒体の候補者検索を検索条件設計・媒体別の使い分け・プロフィールの読み方まで体系化した実践ガイド

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スカウト候補者検索の完全ガイド|媒体別サーチ術と検索条件設計

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スカウトの候補者検索とは、送信前に「誰に送るか」を決める工程であり、返信率を最も大きく左右するのは文面よりもこの工程だ。成果を出すには、①核スキルと経験レベルを先に決め、②検索条件を3パターン用意し、③媒体ごとの検索仕様に合わせて使い分け、④プロフィールを読んで送る相手を絞る、の順で進める。

私は採用コンサルの営業出身で、現在は現役エンジニアとして、BizReach・Forkwell・Green など13以上のスカウトサービスを運用してきた。その中で一番はっきりしているのは、返信が来ないときに文面から直すチームほど遠回りしている、という点だ。スカウト文面や運用のPDCAも大切だが、その手前で「転職を考えていない人」「要件から外れた人」に送っていれば、どんな文面でも結果は出ない。

TL;DR(この記事の要約)

  • スカウトの成否は、文面より前の**「誰に送るか」を決める候補者サーチ**で大きく決まる

  • 技術名×経験年数だけでは足りない。業務内容・プロジェクト規模・リード経験を組み合わせると精度が上がる

  • BizReach・Forkwell・Green・LAPRAS・転職ドラフトは検索機能の設計思想が違うため、同じ条件を使い回さない

  • プロフィールでは更新日・職務経歴の粒度・外部アウトプットの有無で本気度と実力を見る

  • 母集団が枯渇したら条件を緩めるより検索軸を変える

  • AIは候補の「量」を広げる道具。送るかどうかの最終判断は人が持つ

1. 候補者サーチの基本フレームワーク——検索条件設計の5ステップ

検索条件は、キーワードを入力する前に設計しておくものだ。いきなり技術名を打ち込むと「たまたま引っかかった人に送る」作業になり、返信率も学びも残らない。以下の5ステップで条件を組み立てる。

データで見る:なぜ「探す精度」が採用結果を左右するのか

エンジニア採用は、応募を待つだけでは母集団が集まりにくい市場だ。公的統計と民間の転職市場データを並べると、その構造がわかる。

  • 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年):2030年にIT人材が最大で約79万人不足すると試算

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和8年7月分):有効求人倍率は全職業で1.18倍、情報処理・通信技術者は1.50倍

  • doda「転職求人倍率レポート」(2026年8月):転職求人倍率は2.86倍(前月差+0.15ポイント、前年同月差+0.44ポイント)

ハローワーク経由の全職業平均(1.18倍)に対し、転職市場全体は2.86倍と2倍以上の差がある。求職者1人を複数の企業が取り合っている以上、「応募を待つ」より「見つけて声をかける」ほうが合理的で、その起点になる候補者サーチの精度が採用結果に直結する。

ステップ1:ポジションの「核となるスキル」を特定する

求人票(JD)の技術要件をそのまま検索キーワードにするのは避けたい。求人票には理想を書きがちだが、サーチでは**「これがないと仕事にならない」最低限のスキル**に絞る。

  • バックエンドなら「Go」「TypeScript」から入らず、まず**「サーバーサイドの設計・実装経験」**という業務レベルで考える

  • そのうえで、自社の技術スタックに合う言語・フレームワークをキーワードとして足す

こうすると「Goは書いていないが、JavaやRustで同等の設計力を持つ人」を取りこぼさない。求める人物像を先に言語化したい場合は、採用ペルソナ設計ガイドの手順が使える。

ステップ2:経験レベルの幅を決める

「シニアが欲しい」の定義は会社ごとに違う。サーチ前に次の3点を決めておく。

  1. 最低経験年数:3年以上か、5年以上か

  2. 期待するロール:個人で手を動かす人か、チームをリードする人か

  3. 過去のプロジェクト規模:3人チームと30人チームでは同じ「リード経験」でも意味が違う

これを決めずに検索すると、プロフィールを読む段階で「やっぱり違う」が頻発し、時間を浪費する。

ステップ3:「あると嬉しいスキル」を優先度付きでリスト化

核スキル以外に、あると嬉しいスキルを3つ程度挙げて優先度を付ける。

優先度

スキル例

検索での使い方

A

インフラ構築経験(AWS / GCP)

検索条件に含める

B

CI/CDパイプライン構築経験

プロフィール確認時にチェック

C

英語でのコミュニケーション

あれば加点、なくても可

検索条件に入れるのは優先度Aまで。B以降はプロフィールを読むときの確認項目にする。全部を条件に入れると候補者数がほぼゼロになる。

ステップ4:ネガティブ条件(除外条件)を設定する

見つけたくない候補者の条件も先に決めておくと効率が上がる。直近のログインが6か月以上前、現職の在籍が極端に短い、プロフィールがほぼ空欄、などだ。ただし除外を厳しくしすぎると優秀な人を逃す。あくまで効率化のためのフィルターとして使う。

ステップ5:検索条件のバリエーションを3パターン作る

1つの条件だけでは同じ候補者プールを繰り返し見ることになる。最低3パターンを用意する。

  1. パターンA(メイン条件):核スキル+優先度Aスキル

  2. パターンB(条件緩和版):核スキルのみ、経験年数の下限を下げる

  3. パターンC(視点変更版):異なる技術スタックだが同等スキルを持つ人を狙う

特に効くのはパターンCだ。Reactエンジニアを探すならVue.jsやAngularの経験者まで含める。フレームワークの移行は十分可能で、候補者プールが大きく広がる。

2. 媒体別・検索機能の特徴と使い分け

スカウト媒体は検索機能の設計思想がそれぞれ違うため、同じ検索条件を全媒体で使い回すのは非効率だ。13以上の媒体を触ってきた実感としても、成果が出る条件は媒体ごとに別物になる。媒体選定の全体像は別記事に譲り、ここでは「検索機能」に絞って特性を整理する。

媒体

検索の軸

向いている探し方

BizReach

年収・業界・職種など多軸フィルター

マネジメント層、CTO・VPoE候補

Forkwell

技術スキルのタグ

技術スタックを指定した探索

Green

自己PR・志向性のフリーワード

転職潜在層のポテンシャル発掘

LAPRAS

外部アウトプットの収集・評価

手を動かしているエンジニア

転職ドラフト

詳細なレジュメと年収提示

報酬を軸にした指名

BizReach:詳細条件での絞り込みに強い

フィルター条件が豊富で、年収・業界・職種・スキルなど多軸で絞り込める。ハイクラス層が多く、マネジメント経験者やCTO・VPoE候補の検索に向く。エンジニア以外の職種も多いため、職種フィルターだけに頼らず、フリーワードに具体的な技術名を入れてノイズを減らすのがコツだ。媒体の詳しい運用はBizReach活用ガイドで解説している。

Forkwell:技術スキルベースのサーチが優秀

エンジニア特化の媒体で、候補者が自分でスキルを登録しているため技術軸での検索精度が高い。一方、登録者数は総合型媒体より少なく、条件を絞りすぎると母集団が極端に小さくなる。まずOR検索で広く見てプロフィールの質を確認し、それからAND検索で絞る順番がよい。詳しくはForkwell活用ガイドを参照してほしい。

Green:カジュアルな転職潜在層にリーチ

「良い機会があれば」というスタンスのエンジニアが多く、プロフィールの記載粒度にばらつきがある。そのため経歴や志向性からポテンシャルを読み取る力が問われる。技術名だけでなく「設計」「アーキテクチャ」「チームビルディング」など業務キーワードでフリーワード検索すると、自己PR欄に書かれた志向を拾える。

LAPRAS:アウトプットベースの候補者発見

GitHub、Qiita、Zenn、ブログ、登壇資料などの公開アウトプットを収集・評価する媒体で、実際に手を動かしているエンジニアを見つけるのに向く。ただしアウトプットを公開しない優秀層はスコアが低く出る。スコアだけで判断せず、中身を開いて技術的な関心領域を確認したい。

転職ドラフト:年収提示型のユニークなサーチ

企業が年収を提示して指名する形式で、レジュメの記述量が多いのが特徴だ。報酬面のミスマッチを事前に防ぎやすい。レジュメの「プロジェクト詳細」の具体性は、候補者の言語化能力と本気度を測る材料になる。

YOUTRUST / Wantedly:信頼関係・カルチャー軸

YOUTRUSTは社員のつながりを起点に候補者を発見できるのが強みで、リファラルに近い信頼性がある。自社社員が使っていないとリーチが限られる点には注意したい。Wantedlyは共感を軸にした設計で、技術スキルでの細かな絞り込みは弱いが、ストーリー記事で自然流入を増やす運用と組み合わせると効く。

3. ブーリアン検索とフリーワード検索の実践テクニック

ブーリアン検索(AND / OR / NOT)とフリーワード検索を使い分けられるかどうかで、サーチの精度と速度には大きな差が出る。演算子の役割を理解し、業務レベルのキーワードを組み合わせるのが基本だ。

AND / OR / NOT の使い分け

演算子

用途

使いどころ

注意点

AND

すべての条件を満たす人に絞る

核スキルが明確で、数を絞りたい

増やしすぎるとゼロ。核スキル2〜3個まで

OR

いずれかを満たす人を含める

類似スキルを広く探す

スキルレベルのばらつきが大きくなる

NOT

特定のキーワードを除外

ノイズが多い、特定業界を外したい

除外しすぎると取りこぼす

例:「Go AND Kubernetes AND AWS」で3スキルを持つ人に絞る、「React OR Vue.js OR Angular」で経験者を広く見る、「エンジニア NOT 営業 NOT コンサルタント」でノイズを外す。

フリーワード検索で差がつくキーワード選び

技術名だけで検索するのはもったいない。業務レベルのキーワードを組み合わせると、「言語が書ける人」ではなく「事業に貢献できる人」が見つかりやすくなる。

  1. 設計力:「設計」「アーキテクチャ」「リファクタリング」「技術選定」「技術負債」

  2. リーダーシップ:「テックリード」「チームリード」「メンター」「コードレビュー」

  3. 事業理解:「KPI」「グロース」「プロダクト」「ユーザーインタビュー」

  4. 成長意欲:「登壇」「OSS」「技術ブログ」「勉強会」

注意すべきは検索対象のフィールドだ。フリーワードが「スキル欄」だけを対象にするのか、「自己PR」「職務経歴」まで含むのかで、同じキーワードでもヒットする人が変わる。媒体のヘルプページで検索仕様を事前に確認しておきたい。

検索結果が「ゼロ」または「多すぎる」ときの調整順序

条件を一度に全部いじると、何が効いたのかわからなくなる。私自身、複数の条件を同時に変えて原因を特定できなくなった経験があるので、1回に1つずつ動かすことを勧める。

結果が少なすぎるとき(緩める順)

  1. 言語・フレームワーク指定をAND検索からOR検索に変える

  2. 経験年数の下限を1段階下げる

  3. 優先度Aのスキル条件を外し、プロフィール確認項目に回す

  4. それでも少なければ、媒体そのものを変える

結果が多すぎるとき(絞る順)

  1. 業務キーワード(「設計」「テックリード」など)をANDで追加する

  2. 最終ログイン日やプロフィール更新日で絞る

  3. 除外条件(NOT)を追加する

4. 職種別・検索条件設計のベストプラクティス

同じ「エンジニア」でも職種によって有効な検索キーワードは大きく違うため、職種ごとに核キーワードと業務キーワードをセットで持っておくとよい。

職種

核となる検索キーワード

実務経験を見分ける業務キーワード

バックエンド

Go / Java / Python / Ruby / PHP / TypeScript、Rails / Django / Spring Boot

API設計、マイクロサービス、DB設計

フロントエンド

React / Vue.js / Next.js / Nuxt、TypeScript

デザインシステム、パフォーマンス最適化、アクセシビリティ

SRE・インフラ

AWS / GCP / Azure、Kubernetes / ECS、Terraform

SLO、障害対応、ポストモーテム、オンコール

データエンジニア

BigQuery / Snowflake / dbt / Airflow、SQL

データパイプライン、ETL、データマート

MLエンジニア

Python / PyTorch / MLflow

モデル学習、推論基盤、特徴量エンジニアリング

モバイル

Swift / SwiftUI、Kotlin / Jetpack Compose、Flutter

ストアリリース、アプリ内課金、自動テスト

職種ごとの補足は次のとおりだ。

  • バックエンド:言語を1つに絞らず「Go OR Rust OR Java」で幅を持たせる。「テックリード」を足すとリード経験者に寄せられる

  • フロントエンド:フレームワークの移行が比較的容易なので、React経験者だけに絞らない

  • SRE・インフラ:母集団が小さいため、インフラエンジニアからSREへの転向希望者も視野に入れる

  • データ/ML:データエンジニアとMLエンジニアは求めるスキルが違うので、検索条件を混ぜない

  • モバイル:リリース済みアプリの有無をプロフィールで必ず確認する

5. 候補者プロフィールの「読み方」——送る前に判断する7つのチェックポイント

検索でヒットした人に片っ端から送るのは非効率で、プロフィールを読んで「この人に送るべきか」を判断する目利きがスカウト運用の生産性を決める。以下の7点を順に確認する。

  1. 最終ログイン日・プロフィール更新日:直近でログインしている人ほど転職意欲が高い可能性がある。ただしLAPRASのようにアウトプットを自動収集する媒体では、ログイン頻度と転職意欲は連動しない

  2. 職務経歴の記載粒度:使用技術・担当機能・チーム規模・成果まで書いている人は、転職活動への本気度が高いと読める

  3. 技術ブログ・GitHub・登壇資料へのリンク:外部アウトプットは技術的な関心領域を知る手がかりで、文面をパーソナライズする素材にもなる

  4. 希望条件:「フルリモート必須」「マネジメントはしたくない」など明示された条件は必ず確認する。完全な不一致でなければカジュアル面談で擦り合わせる余地がある

  5. 転職理由・志向性のキーワード:「技術的な挑戦がしたい」「プロダクト開発に関わりたい」は、候補者が求めるものを直接教えてくれる記述だ

  6. 在籍期間と転職回数:短期の転職が続く場合は注意が必要だが、エンジニアのキャリアアップ転職は一般的。見るべきは転職理由のストーリーに一貫性があるかだ

  7. スキルの「組み合わせ」による希少性:「Go × インフラ × チームリード」ならSREリード候補、「React × デザインシステム × アクセシビリティ」ならフロントエンド基盤を任せられる人、というように掛け合わせで判断する

6. 候補者サーチでよくある5つの失敗パターンと対策

成果が出ないチームの候補者サーチには共通する失敗パターンがあり、多くは運用ルールを1つ決めるだけで直せる。

  1. 検索条件が理想形すぎる:求人票の要件をそのまま条件にすると、候補者がほとんど見つからない。対策:Must / Want / Nice-to-have の3段階に分け、検索にはMustだけを入れる

  2. 1つの媒体だけに依存している:媒体ごとに登録者層は違い、技術志向の強い人ほど特化型媒体にいることが多い。対策:メイン1媒体+サブ1〜2媒体で並行運用する。媒体の組み合わせ方は採用チャネルのポートフォリオ設計を参照してほしい

  3. プロフィールを読まずに一斉送信する:送信数は稼げても返信率は下がり、媒体内での自社の印象も悪くなる。対策:「なぜこの人に送るか」を一文で言える人にだけ送る

  4. 同じ検索条件を何か月も使い続ける:同じプールを見続け、新規登録者を見逃す。対策:週1回条件を見直し、「新規登録順」「更新日順」などソートを変える

  5. 検索結果の件数だけで判断する:件数が多くても、送る価値のある人が少なければ意味がない。対策:最初の20人を実際に読み、送信対象が何人いるか(ターゲット率)で条件の良し悪しを判断する

7. 検索条件の継続改善——「枯渇」を防ぐPDCAサイクル

「もう送る人がいない」と感じるとき、実際には候補者がいないのではなく、検索条件が固定化して同じプールを繰り返し見ているだけのことが多い。改善サイクルを体系的に回す方法はスカウト運用のPDCA最適化ガイドで詳しく解説している。

週次で検索条件を見直す

週1回、以下の4ステップを回す。

  1. Plan:今週の送信目標数と、検索パターンA / B / Cの配分を決める

  2. Do:各パターンでサーチし、プロフィールを読んで送付対象を選び、送信する

  3. Check:パターン別の返信率と、前週と重複しない新規候補者数を確認する。返信がなかった人の共通点も探す

  4. Act:返信率の高いパターンの配分を増やし、新規候補者が少ないパターンは条件を変える

母集団が枯渇したときの対処法

  1. 検索軸そのものを変える:言語指定を外して業務キーワードだけで探す、職種の枠を広げる(バックエンド→フルスタック・SRE)、業界フィルターを変える

  2. 使っていない媒体を追加する:媒体ごとにしかいない候補者がいる

  3. タイミングを変える:年度の切り替わりや賞与支給後は転職を考え始める人が増えやすい。時期の考え方は中途採用の年間スケジュールにまとめている

  4. 過去の候補者を再サーチする:数か月前に返信がなかった人が、状況の変化で転職を考えている場合がある

転職潜在層への接し方そのものを見直したい場合は、転職潜在層エンジニアへのアプローチも参考になる。

8. AIを活用した候補者サーチの効率化

AIは候補者サーチの「量」を効率化する道具であり、「この人に送るべきか」という質の判断は人が担うのが現実的な役割分担だ。スカウト全体のパーソナライズ自動化はAIスカウト自動化の実践ガイドを参照してほしい。

観点

AIが得意なこと(量)

人が担うべきこと(質)

候補の抽出

要件と候補者プロフィールの自動マッチング、類似候補の推薦

キャリアストーリーの一貫性の読み取り

情報整理

スキルセットの構造化・タグ付け、プロフィール要約

自社のカルチャーに合うかの判断

評価

条件に合う候補者のリスト化

技術ブログやGitHubの中身の評価

生成AIを活用したサーチ効率化の実践例

  1. 検索キーワードの拡張:求人要件を渡し、候補者が使いそうな技術キーワードの類義語・関連語を出させる

  2. ブーリアン検索式の生成:要件を自然言語で渡し、媒体の構文に合わせた検索式を作らせる

  3. プロフィール要約:強み・懸念点・アピールポイントを要約させ、読む順番の優先度付けに使う

候補者の個人情報を外部の生成AIに入力する際は、媒体の利用規約と自社の情報管理ルールを必ず確認したい。

9. スカウト運用チームの体制と役割分担

候補者サーチは属人化しやすく、ノウハウを持つ担当者が異動・退職すると一気に止まるため、役割分担と記録の仕組みを先に作っておく必要がある。少人数チーム(採用担当1〜2名)の推奨体制は次のとおりだ。

  • 採用担当者:検索条件の設計、プロフィールの最終判断、文面作成・送信、返信対応と面談設定

  • 現場エンジニア:検索キーワードの技術的な妥当性レビュー、GitHub・ブログの確認、カジュアル面談への同席

  • 経営者・CTO:サーチ対象の優先順位決定、ハイクラス候補への直接スカウト、媒体予算の配分

属人化を防ぐために、次の4つを蓄積・共有したい。

  1. ポジション別の検索条件テンプレート

  2. 「送る/送らない」の判断理由メモ

  3. 媒体別・パターン別の返信率データ

  4. 内定承諾に至った候補者のサーチ〜スカウトの振り返り

社内に運用リソースがない場合は、エンジニア採用代行(RPO)にサーチ工程だけを切り出して任せる選択肢もある。

10. サーチ品質を測るKPIと目標設定

候補者サーチの品質は、送信後の返信率だけでなく「検索結果のうち送る価値のある人の割合」まで分けて測ると、問題がサーチにあるのか文面にあるのかを切り分けられる。スカウト採用全体の位置づけはダイレクトリクルーティングの完全ガイドを参照してほしい。

KPI

定義

主に何の問題を示すか

サーチ効率

1件あたりの検索〜送信判断にかかる時間

検索条件の設計不足

ターゲット率

検索結果のうち送信対象になった人の割合

条件が広すぎる/狭すぎる

開封率

送信したうち開封された割合

件名・送信タイミング

返信率

送信したうち返信があった割合

候補者選定の精度と文面

面談設定率

返信のうち面談に進んだ割合

返信後のフォロー速度

媒体・職種・企業の知名度によって数値の水準は大きく変わるため、目標値は他社の相場ではなく自社の過去データを基準に置くのがよい。読み方の原則は次の4つだ。

  1. ターゲット率が低い:検索条件が広すぎる。業務キーワードの追加やフィルター強化で絞る

  2. 開封率が低い:サーチではなく件名やタイミングの問題を疑う

  3. 返信率が低い:転職意欲の低い人に送っているか、文面が刺さっていない。プロフィールの読み込みを見直す

  4. 面談設定率が低い:返信後の対応が遅いか、候補者の期待と提案内容にずれがある

ファネル全体での転換率の見方は選考ファネル転換率の改善ガイドで解説している。

FAQ(よくある質問)

Q. スカウトで候補者を検索する際、最初に設定すべき条件はどれですか?

「核となるスキル」と「経験レベルの幅」の2軸を最初に決める。「これがないと仕事にならない」最低限のスキル(例:バックエンドの設計経験)と、期待する経験年数を明確にするだけで検索の方向性が定まり、後から条件を足し引きしやすくなる。

Q. スカウト媒体は何個くらい並行運用すべきですか?

メイン1媒体+サブ1〜2媒体が現実的だ。1媒体だけでは候補者プールが限られ、4媒体以上になると少人数では運用が回らなくなりやすい。どれをメインにするかは、採用ポジションの特性と予算で決める。

Q. 検索しても候補者が10人以下しか出てこない場合、どうすればいいですか?

AND条件をOR条件に変える、経験年数の下限を1段階下げる、の順で1つずつ緩める。それでも少ない場合は、その媒体に該当職種の登録者が少ない可能性が高いため、別の媒体を試したほうが早い。

Q. 同じ候補者に再度スカウトを送るのはマナー違反ですか?

数か月の間隔を空け、送る理由があれば問題ない。前回と同じ内容ではなく、新しいポジションや会社の変化(資金調達、新プロダクトなど)を理由にするのが自然だ。媒体によっては再送のルールがあるため、事前に確認しておきたい。

Q. 技術がわからない人事担当者でも候補者サーチはできますか?

できる。ただし現場エンジニアとの連携が前提だ。最初に検索キーワードの妥当性を一緒に確認し、プロフィールの技術的な読み方を教えてもらう。その後は自走し、判断に迷ったときだけ相談する運用が回しやすい。

Q. 候補者のGitHubアカウントを見て何を確認すればいいですか?

コミットが継続しているか、個人リポジトリのテーマと使用言語、OSSへの貢献の有無の3点を見る。ただし業務コードは公開できないことが多く、GitHubが活発でない優秀なエンジニアも多い。GitHubだけで技術力を判断しないことが大切だ。

Q. AIスカウトツールの導入を検討しています。効果は出ますか?

候補者のリストアップとスクリーニングの工数削減には役立つ。ただし推薦精度はツールによって差があるため、推薦された候補をそのまま送信対象にせず、人が最終確認する運用にしたい。導入前後で返信率とターゲット率を比べ、効果を検証するのが確実だ。

Q. スカウトのサーチと送信、それぞれどのくらい時間をかけるべきですか?

サーチと候補者選定に、文面作成より多くの時間を割くのがよい。多くのチームは文面に時間をかけすぎてサーチがおろそかになっている。「誰に送るか」の精度を上げるほうが、同じ工数でも成果につながりやすい。

まとめ——スカウトの成功は「探す力」で決まる

スカウト採用の成否を最も大きく左右するのは、文面よりも「誰に送るか」を決める候補者サーチだ。実践に移すなら、まず次の3つから始めてほしい。

  1. 検索条件を3パターン作る:メイン条件、条件緩和版、視点変更版を設計する

  2. プロフィールの読み方を揃える:最終ログイン日、記載粒度、外部アウトプットを必ず確認する

  3. 週1回のPDCAを回す:パターン別の返信率とターゲット率を測り、条件を1つずつ改善する

候補者サーチは地道な作業だが、ここに時間と知恵を投資するチームほど、限られた採用予算でも成果を出しやすい。スカウト運用の体制づくりや候補者サーチの代行については、techcellarの採用支援サービスにお気軽にご相談ください。

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岩佐 直樹techcellar 運営者

現役エンジニアでありながら、スタートアップのエンジニア採用支援を行う。採用コンサル営業として採用を売る側の経験と、エンジニアとして採用される側の経験を併せ持つ。13以上のダイレクトスカウトサービスの運用経験をもとに、AI×採用の実践ノウハウを発信。

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