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Tips エンジニア採用のヒント

公開: 2026/5/23

子育て・介護期エンジニアの採用と定着ガイド|2025年改正法対応

子育て・介護中エンジニアの採用と定着を改正法対応で実現する制度設計と実務ノウハウを解説

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子育て・介護期のエンジニアを採用し定着させる鍵は、「制度の有無」ではなく「制度が実際に使われている状態」を求人票・面接・運用で示すことです。 2025年4月・10月に段階的施行された改正育児・介護休業法への対応はもはや前提条件であり、ここから一歩踏み込んだ運用設計が採用競争力を決めます。

このページでわかること

この記事では、スタートアップの経営者・人事担当者・エンジニアリングマネージャーに向けて、子育て・介護期のエンジニアを採用・定着させるための実践手法を解説します。

  • 子育て・介護期エンジニアが採用市場で持つ戦略的価値

  • 2025年改正育児・介護休業法のエンジニア採用への影響と対応ポイント

  • 制度設計のチェックリスト(休業・時短・看護休暇・テレワーク・残業免除)

  • 求人票・面接で「実際に使われている」状態を伝える書き方

  • 復職時のオンボーディングと評価制度の設計

  • 介護期エンジニアという「見えにくい層」へのアプローチ

  • KPI設計と運用改善のサイクル

筆者は採用コンサル営業出身の現役エンジニアで、BizReach・Forkwell・Green・doda・Wantedlyを含む13サービス以上のダイレクトリクルーティングを運用してきました。スカウト運用の現場で確信しているのは、「ライフイベントと両立できる環境」を具体的に示せる企業は、ミドル層の候補者から明確に選ばれるという事実です。


TL;DR(この記事の要約)

  • 子育て・介護期のエンジニアは「キャリア継続意欲が高く、定着率も高い」傾向があり、採用ターゲットとして戦略的価値が高い

  • 2025年4月の改正育児・介護休業法で、所定外労働の制限の対象が小学校就学前まで拡大子の看護休暇は小学校3年生まで拡大・時間単位取得可になった(厚生労働省)

  • 2025年10月施行で、3歳以上小学校就学前の子を持つ従業員向けに5つの柔軟な働き方措置から2つ以上を選択導入する義務が発生

  • 男性の育休取得率は2024年度に**40.5%**まで上昇(厚労省「令和6年度雇用均等基本調査」)。男性エンジニアの育休取得は前提条件化しつつある

  • 制度を作るだけでなく「実際に使われている」状態を求人票・面接・社員発信で見せることが、採用転換率を左右する

  • 介護期は「子育てより見えにくい」ため、面談時の聞き方とサポート制度設計を子育てと分けて考える必要がある


なぜ「子育て・介護期エンジニア」が採用ターゲットとして重要なのか

エンジニア採用市場では「若手即戦力」「ハイクラスシニア」に注目が集まりがちですが、子育て・介護期のエンジニアは採用ROIの観点で非常に魅力的な層です。

採用市場での戦略的価値

筆者がスカウト運用を支援してきた中で、子育て・介護期のミドル層エンジニアには次のような特徴があります。

  • キャリア継続意欲が高い: ライフイベントを抱えながらも働き続けたいという明確な意思があり、転職活動はあっても「何でもいい」とはならない。条件と環境のフィットを重視する

  • 企業選びの軸が定まっている: 残業の許容範囲、リモート可否、急な看護休暇への理解など、譲れない条件が明確で、ミスマッチが起きにくい

  • 定着率が高い: 一度入社した企業で長く働く傾向が強く、採用単価あたりの貢献期間が長い

  • 競合が手薄: 多くの企業が「フルコミット可能な人材」を優先するため、ライフイベント期の候補者は競争が比較的緩い

採用しないリスク

逆に、子育て・介護期エンジニアを採用ターゲットから外す企業は、見えないコストを払い続けます。

  • 採用母集団が狭まる: 国の調査では男性育休取得率が約4割に達しており(厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」)、男性エンジニアでも育休取得が前提となる時代。これに対応できない企業は候補者から選ばれにくくなる

  • 既存社員の離職リスク: 自社社員がライフイベントを迎えたときに退職を選ぶ確率が上がり、社内ナレッジが失われる

  • 採用ブランディングのマイナス: SNS時代では「ライフイベント期の社員に厳しい会社」という評判は急速に広がる


2025年改正育児・介護休業法の概要とエンジニア採用への影響

2025年4月1日と10月1日に段階的に施行された改正育児・介護休業法は、エンジニア採用にも大きな影響を与えます。まず制度の全体像を押さえましょう(出典: 厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント」)。

2025年4月1日施行の主な改正点

  • 子の看護休暇の対象拡大・名称変更: 小学校就学前 → 小学校3年生修了までに拡大。取得事由に「感染症による学級閉鎖」「入園式・卒園式等の行事参加」を追加。名称も「子の看護等休暇」に変更

  • 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大: 3歳未満の子 → 小学校就学前の子を持つ労働者まで拡大

  • 介護関連の措置の充実: 介護に直面した労働者への個別周知・意向確認の義務化、両立支援制度の情報提供の義務化、研修・相談窓口設置等の雇用環境整備

  • 育児休業取得状況の公表義務の拡大: 従業員1,000人超 → 300人超の企業に拡大

2025年10月1日施行の主な改正点

  • 柔軟な働き方を実現するための措置(5つの選択肢から2つ以上を選択導入): 3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者向け

    1. 始業時刻等の変更(時差出勤・フレックスタイム等)

    2. テレワーク等(月10日以上)

    3. 保育施設の設置運営等

    4. 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)

    5. 短時間勤務制度

  • 仕事と育児の両立に関する個別周知・意向確認の義務化: 3歳未満の子を養育する労働者を対象に、3歳の誕生日の1ヶ月前までに実施

エンジニア採用への実務インパクト

これらの改正は、エンジニア採用において次の3つの意味を持ちます。

  1. 求人票の最低ラインが上がる: 「フレックス可」「リモート可」だけでは差別化にならない。具体的な制度設計の質が問われる

  2. 面接での質問が変わる: 候補者から「実際に時差出勤を使っている人はいますか」「子の看護休暇は時間単位で取れますか」といった具体的な質問が増える

  3. 男性候補者にも訴求軸が必要: 男性育休取得率の上昇に伴い、「男性が育休を取りやすい雰囲気か」を確認する候補者が増える


エンジニア向け制度設計のチェックリスト

法定の最低ライン+α として、エンジニア組織で整備すべき制度を整理します。

必須整備項目(法定対応)

制度

法定基準

エンジニア組織での運用ポイント

育児休業

子が1歳まで(最長2歳まで延長可)

コードレビュー権限の引き継ぎ、Slack通知の整理、復職後の段階的なオンコール復帰

産後パパ育休

子の出生後8週間以内に最大4週間

短期間の分割取得が可能。スプリント単位での休業計画が立てやすい

子の看護等休暇

小学校3年生まで、年5日(子2人以上は10日)、時間単位取得可

カレンダー連携で当日連絡をシンプルに。スタンドアップミーティングへの非同期参加体制

所定外労働の制限

小学校就学前まで

オンコールローテーションからの除外運用ルールを明文化

介護休業

対象家族1人につき通算93日まで(3回まで分割可)

プロジェクトのアサイン調整、後任への引き継ぎ期間の確保

介護休暇

年5日(家族2人以上は10日)、時間単位取得可

通院付き添い等の短時間取得を前提とした業務設計

差別化につながる+αの制度

  • テレワーク日数の柔軟化: 法定の「月10日以上」を超えて、フルリモート選択肢を提供

  • 時差出勤の幅を広げる: コアタイムを4時間以内に圧縮し、保育園送迎やデイサービス対応を可能に

  • 短時間正社員制度: 育休復帰後の時短勤務を「育児期間限定」にせず、介護期や本人の事情でも選べる

  • 育児・介護期の評価特例: 時短勤務でも「成果に対する評価」を維持。降格や昇進停止が自動発動しない

  • 副業/業務委託への一時的な切り替え: 育休/介護休業の代替として、業務委託で関与継続できる仕組み

報酬や年収レンジについては「エンジニア採用で勝つための報酬設計と年収戦略の完全ガイド」、評価制度との連動については「エンジニアの人事評価制度設計ガイド|納得感ある評価で採用力と定着率を高める」も参考にしてください。


求人票で「実際に使われている」状態を伝える書き方

制度を整備しても、求人票で伝わらなければ意味がありません。子育て・介護期エンジニアが応募を決める瞬間に効く書き方を解説します。

NG例とOK例

NG例: 「育児休業制度あり。フレックスタイム制」

これだけでは、法定通りなのか、実際に使われているのか、雰囲気はどうなのかが何も分かりません。

OK例:

「育児・介護と両立して働けるエンジニアチームです。」と書いた上で、次のような具体情報を列挙します。

  • 直近2年で育休取得実績: 男性4名・女性3名(チーム規模20名)

  • 復職後の時短勤務利用者: 現在3名(全員エンジニア職)

  • 子の看護休暇は時間単位で取得可(昨年度の平均取得日数: 6.2日)

  • リモートワーク日数の制限なし(月の出社日は自分で決定)

  • 16:00〜17:30の保育園お迎え離脱は日常的に発生しており、非同期コミュニケーションが文化として根付いている

数値と具体的な情景描写を組み合わせることで、「制度が形骸化していない」ことが伝わります。

介護期向けの記載は別ブロックで

子育てと介護は読み手のペルソナが異なります。介護期の候補者は「育児期向けの記載しかない求人票」を「自分は対象外」と感じることがあります。

「介護と仕事を両立する社員もいます。」と冒頭で述べ、次のような実績を列挙します。

  • 介護休業の取得実績: 過去1年で2名

  • 介護休暇は時間単位取得可。通院付き添いや手続きに利用する社員が複数います

  • フルリモート/時差出勤を組み合わせて、遠方の親の介護をしながら就業継続している社員もいます

男性育休の取得実績を明示

男性エンジニア候補者にとって、「男性が育休を取りやすい職場か」は判断軸の1つです。取得率や取得日数の中央値を明示するだけで、応募率は上がります。

求人票全体の作り方は「エンジニアが応募したくなる求人票(JD)の書き方完全ガイド」を参考にしてください。


カジュアル面談・面接での聞き方と伝え方

子育て・介護期の候補者との面談には、独特の難しさがあります。

候補者の心理的バリア

候補者は「育児/介護のことを言うと不利になるのでは」と警戒しがちです。逆に、企業側が「特殊な配慮が必要な候補者」として見ると、本来の評価軸がブレます。**「両立を前提として、何を一緒に設計するか」**というスタンスで臨むのが正解です。

企業側から先に伝えるべきこと

候補者から切り出させるのではなく、1次面談の冒頭で企業側から両立支援の実態を語ることを推奨します。

  • 「弊社はエンジニアの育休取得が当たり前で、男性も平均◯ヶ月取っています」

  • 「お迎えで16時離席している人が複数います。困ることはありません」

  • 「介護で時差出勤に切り替えている人もいます。働き方の事情は気軽に相談してもらえれば」

この一言があるだけで、候補者は本音を出しやすくなり、面談の情報量が大きく変わります。

NG質問とOK質問

NG質問:

  • 「お子さんがいると残業はできないですよね?」(前提が決めつけ)

  • 「ご家族の同意は得ていますか?」(家族の判断を仕事に持ち込ませる)

  • 「介護はあとどれくらい続きそうですか?」(プライベートの予測を強要)

OK質問:

  • 「業務時間の柔軟性について、現在のお仕事ではどんな運用をされていますか?」

  • 「リモートと出社のバランスは、どんな形がご自身に合いそうですか?」

  • 「弊社で活躍いただくにあたって、働き方で確認したい点はありますか?」

質問の主語を「制度」「働き方」に置き、家族構成や個人事情に踏み込まない設計が基本です。

カジュアル面談全体の設計は「エンジニア採用のカジュアル面談設計ガイド|選考転換率を高める運用術」も参考になります。


復職・入社時のオンボーディング設計

採用しても、復職後/入社後の最初の3ヶ月で離脱されては意味がありません。

育休復帰エンジニアのオンボーディング

  • 段階的な業務復帰: 復帰初週は会議参加のみ、2週目から軽めのタスク、3週目以降に本格復帰など、本人と合意したペース設定

  • 技術キャッチアップ時間の確保: 休業中に変わったツール・フレームワーク・社内システムへのキャッチアップ時間を業務として確保(推奨2〜4週間)

  • オンコール復帰の延期: 育児リズムが安定するまでオンコールローテーションから外す。復帰タイミングを本人と合意

  • 時短勤務でも担当を任せる: 「時短だから周辺タスクのみ」とせず、コア業務を担当できる設計。降格扱いにしない

新規入社の育児・介護期エンジニア

  • 入社初日のスケジュール柔軟化: 保育園の慣らし保育や介護の都合で、初日からフルタイム勤務が難しい場合がある。事前に確認

  • メンター/バディの選定: 同じく子育て中/介護中のエンジニアをメンターに付けると、「働き方の相談」がしやすくなる

  • 緊急離席ルールの説明: 「子の体調不良/家族の緊急事態で即離席してOK」を入社初日に明示。Slack絵文字や定型文の運用ルールも合わせて

オンボーディング全体の設計は「エンジニアのオンボーディング完全ガイド|早期戦力化と定着率向上の実践手法」を参考にしてください。


評価制度の設計:時短・残業免除でも公正な評価を維持する

子育て・介護期エンジニアの定着で最も難しいのが評価制度の運用です。

時短勤務者の評価でよくある誤り

  • 時間あたりの成果ではなく総量で評価: 8時間労働の人と6時間勤務の人を同じ「総量」で比べると当然不利になる

  • 昇給ペースを自動的に減速: 「時短だから昇給0.5倍」のような機械的なルールは、復職後のモチベーションを下げる

  • 役割の縮小を黙示: マネジメント層・リードポジションから自動的に外す運用は、当人が望まない場合キャリア意欲を削ぐ

公正な評価のための設計

  • 役割と期待値を勤務時間と分離: 「6時間勤務でこの役割」「8時間勤務でこの役割」を明確に。役割は時間ではなく業務範囲で定義

  • 目標設定を勤務時間に応じてスケール: OKRや個人目標を、勤務時間に応じて量的に調整。質的なゴール(責任範囲)は維持

  • 時短勤務者の昇進事例を作る: 1人でも時短のままマネージャー昇進した実例があると、他の社員の安心材料になり、採用広報にも使える

  • 評価会議でのバイアスチェック: 「育休明けだから評価を厳しく/甘く」というバイアスがかからないよう、評価会議で第三者がチェック

評価制度の設計詳細は「エンジニアの人事評価制度設計ガイド|納得感ある評価で採用力と定着率を高める」、コンピテンシーモデルとの接続は「エンジニア組織のコンピテンシーモデル設計ガイド|採用・評価・育成の一貫運用」を参考にしてください。


介護期エンジニアという「見えにくい層」へのアプローチ

子育て期は本人から開示されることが多いですが、介護期は「言いにくい」「いつ始まるか予測できない」「終わりが見えない」という特性から、社内外で見えにくい層です。

介護期エンジニアの実態

  • エンジニア中堅層が直撃される: 40代〜50代のミドル・シニアエンジニアは、親の介護に直面する確率が高い

  • キャリアの停滞を本人も認識しがち: 介護を理由に転職を諦めたり、現職で昇進から下りたりするケースがある

  • 転職市場では希少: 介護期に「両立を前提に転職する」候補者は少なく、競合企業の認知も薄い

採用ターゲットとしてのアプローチ

  • 求人票に介護期向け記載を明示: 前述の通り、子育てと介護は別ブロックで書く

  • スカウト文面で介護両立を示唆: 「フルリモートと時差出勤を組み合わせて働く社員も複数います」など、家族介護を意識している候補者の心に響く一文を入れる

  • カジュアル面談で介護の話題に蓋をしない: 候補者が介護に触れたら、「両立されている社員もいますよ」と即座に応じる

スカウト文面の書き方は「エンジニア向けスカウトメールの書き方|例文・テンプレート集」、年代別の採用戦略は「ミドル・シニアエンジニア採用戦略ガイド|35歳以上の即戦力を獲得する実践手法」も参考にしてください。

介護期社員の離職予防

採用と並行して、既存の介護期社員の離職を防ぐ仕組みも重要です。

  • 介護に関する個別周知・意向確認の徹底: 改正法で義務化された制度情報提供を、形式的にではなく実質的に運用

  • 介護をテーマにした社内研修: 「介護はいつ誰に来てもおかしくない」という前提で全社員向けの研修を実施

  • 匿名相談窓口の設置: 上司に言いづらい介護の悩みを匿名で相談できるチャネル


採用広報・エンプロイヤーブランディングへの活用

両立支援の取り組みは、それ自体が強力な採用広報コンテンツになります。

発信すべきコンテンツの例

  • エンジニア社員の育休取得体験記: 男性エンジニアの育休取得インタビュー、復職後の働き方の変化

  • 時短勤務エンジニアのキャリア事例: 時短でリードロールを担うエンジニアの紹介

  • 介護と仕事の両立体験談: センシティブな話題だが、当事者の合意のもとで発信できれば強い差別化に

  • 男性育休取得率の定期公表: 法定の公表義務(300人超企業)にとどまらず、自主的に公表する姿勢

  • 両立支援制度の利用実績データ: 「子の看護休暇の平均取得日数」「育休取得率」「時短勤務者数」など

発信チャネルの設計

  • 採用キャリアページに専用セクション: 「エンジニアと家族の時間」「働き方の事例」など独立セクション

  • テックブログとの連携: 育休復帰後のキャッチアップで使った技術やツールについて、本人が記事化

  • エンジニア社員のSNS発信: 育休取得・復帰のリアルな声を本人がXやnoteで発信

採用広報全般の設計は「エンジニア採用ブランディング完全ガイド|選ばれる会社の作り方」、オウンドメディア運用は「エンジニア採用オウンドメディア戦略ガイド|自社発信で採用力を高める方法」を参考にしてください。


KPI設計と運用改善サイクル

子育て・介護期エンジニアの採用・定着を仕組みとして回すには、KPIで可視化することが不可欠です。

採用フェーズのKPI

  • 両立支援セクションの求人ページ滞在時間: ページ分析ツールで計測

  • 「育児」「介護」「両立」関連キーワードでの自然流入: Search Consoleで計測

  • カジュアル面談での質問頻度: 育児/介護関連の質問が何件出たか

  • 両立支援を理由とした内定承諾率: 内定承諾時のアンケートで把握

定着フェーズのKPI

  • 育児・介護期社員の在籍率: 育休取得者の3年後在籍率、介護休業取得者の継続就業率

  • 男性育休取得率と取得日数中央値: 公表義務対応+自主的な進化

  • 時短勤務からフルタイム復帰率: 時短期間の長さも併せて計測

  • 両立支援制度の利用満足度: 半年に1回のサーベイで把握

改善サイクル

KPIは「測って終わり」ではなく、月次/四半期で振り返り、制度・運用・発信のいずれにボトルネックがあるかを分析するのが本質です。

採用KPI設計全般は「エンジニア採用KPI完全ガイド|データで採用を加速する実践手法」、定着率の測定は「エンジニア採用の質を測る|Quality of Hire計測の実践ガイド」、リテンション施策全般は「エンジニアの離職を防ぐ!定着率を高めるリテンション実践ガイド」を参考にしてください。


スタートアップ・少人数チームでも実践できる優先順位

「うちは少人数だからそこまで制度設計できない」と感じる企業も多いはずです。リソース制約のあるスタートアップでも実践できる優先順位を提示します。

Phase 1: 法定対応を100%カバー(最優先)

2025年改正法への対応は、規模を問わず必須です。就業規則の改定、対象者への個別周知・意向確認、雇用環境整備を漏れなく実施します。

Phase 2: 求人票・面接の運用改善(次の優先)

制度を作っても伝わらなければ採用に効きません。求人票の書き方の見直し、面接官への質問ガイドの配布、カジュアル面談の冒頭スクリプトの整備は、追加コストゼロで実施できます。

Phase 3: +αの制度導入(成長フェーズで)

フルリモート選択肢、時短正社員制度、育児・介護期の評価特例などは、組織が10名を超えるあたりから順次導入を検討します。

Phase 4: 発信・KPIで仕組み化(30名規模以降)

エンジニア社員の育休体験記、男性育休取得率の公表、両立支援制度の利用実績の定期公表など、発信コンテンツを継続的に作る仕組みを構築します。

少人数組織の採用全般は「ひとり人事のエンジニア採用完全ガイド|少人数で成果を出す仕組み化」、知名度のないスタートアップの採用戦略は「知名度ゼロのスタートアップがエンジニア採用で大手に勝つ戦略」も参考にしてください。


FAQ

Q1. 子育て期エンジニアの採用は本当にコスパが良いのですか?

A. 採用単価と在籍期間で見るとコスパは高いと言えます。子育て・介護期エンジニアは「条件と環境のフィット」を重視する傾向が強く、ミスマッチによる早期離職が起きにくいためです。筆者がスカウト運用を支援してきた経験では、ライフイベント期の候補者は内定承諾後の入社率も高い印象です。ただし、制度・運用・評価が整備されていない企業では逆に短期離職リスクが高まるため、受け入れ体制の整備が前提になります。

Q2. 2025年改正法に対応していないとどうなりますか?

A. 法令違反として行政指導の対象になります。また、300人超の企業では育児休業取得状況の公表が義務化されており、未公表は労働局の指導対象です。それ以上に重要なのは、求人票・面接で「最低限の対応もできていない企業」と認識され、候補者の応募意欲を下げる点です。詳細は厚生労働省の「育児・介護休業法改正のポイント」を確認してください。

Q3. 男性エンジニアの育休取得を促すには何が有効ですか?

A. 「取得実績の公表」と「取得しやすい雰囲気の言語化」が二大柱です。具体的には、男性育休取得者の体験記をテックブログや採用ページに掲載する、上司が部下に取得意向を確認する仕組みを作る、産後パパ育休の短期分割を業務スケジュール(スプリント等)と接続できる運用にするなどです。男性育休取得率は2024年度に40.5%まで上昇しており(厚労省「令和6年度雇用均等基本調査」)、エンジニア界隈ではさらに高い肌感があります。

Q4. 介護期エンジニアをどう見つければ良いですか?

A. 介護期は本人が開示しないことが多いため、「介護に該当しそうな年代×働き方の希望」でスカウトを設計するのが現実的です。具体的には、40代〜50代のミドル・シニアエンジニアで、現職がフル出社・残業前提の企業に在籍している層へ、「フルリモートと時差出勤の柔軟性」を訴求するスカウトを送ります。直接「介護されていますか」と聞くのではなく、求人票や面談で「介護期の社員も働いています」と示すアプローチが有効です。

Q5. 時短勤務のエンジニアにマネジメントを任せても大丈夫ですか?

A. 業務設計と評価基準が整っていれば十分に可能です。マネジメント業務は「同期的に常時オンライン」より「非同期で意思決定の質を担保」する設計に変えれば、時短勤務でも機能します。1on1の頻度・時間帯、Slack/Notionでの非同期コミュニケーションルール、緊急対応の代理体制を整備した上で、時短マネージャー事例を作ると、組織全体の働き方の選択肢が広がります。1on1の設計詳細は「エンジニア組織の1on1設計ガイド|定着率と採用力を高める運用術」も参考になります。

Q6. 育休復帰後にすぐ退職されてしまうケースを防ぐには?

A. 復帰前後3ヶ月の設計が鍵です。復帰前面談で本人の状況と希望を丁寧に確認し、復帰初月は会議参加と軽めのタスク中心、2ヶ月目から段階的に業務範囲を広げる設計が基本です。また、復帰直後にオンコールやプロジェクトのデッドラインを当てないよう、組織側で意識的にバッファを作る必要があります。復帰3ヶ月後・半年後のフォローアップ面談で、運用の調整余地を確認することも有効です。


まとめ:制度ではなく「使われている状態」を採用力に変える

子育て・介護期エンジニアの採用と定着は、2025年の改正法対応を「最低ライン」として、求人票・面接・運用・評価・発信のすべてに「実際に使われている状態」を反映できるかで差がつきます。

重要なポイント:

  • 2025年改正法(4月・10月)の対応は規模を問わず必須。法定対応は採用の前提条件

  • 制度の有無ではなく「実際に使われている数値」を求人票・面接で示す

  • 男性エンジニアの育休取得率公表と体験記発信は、ミドル層採用に直結する

  • 介護期は「見えにくい層」なので、子育てと別建てで制度・発信・面談設計を行う

  • 時短勤務でも評価とキャリアを止めない設計が、長期的な定着につながる

  • 少人数組織でも「Phase 1〜4」の優先順位で段階的に整備可能

techcellarはエンジニア×AIの採用支援サービスとして、スカウト運用代行・AIスカウト運用・採用AX/業務自動化の3サービスを提供しています。子育て・介護期エンジニアを含む多様な人材の獲得を目指す企業の方は、ぜひtechcellarのサービスページもご覧ください。

両立支援を起点にした採用設計は、短期的な採用力強化だけでなく、組織の持続的な競争力につながります。改正法対応をスタートラインに、自社らしい「選ばれる組織」のあり方を設計していきましょう。

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岩佐 直樹techcellar 運営者

現役エンジニアでありながら、スタートアップのエンジニア採用支援を行う。採用コンサル営業として採用を売る側の経験と、エンジニアとして採用される側の経験を併せ持つ。13以上のダイレクトスカウトサービスの運用経験をもとに、AI×採用の実践ノウハウを発信。

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