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Tips エンジニア採用のヒント

updated_at: 2026/5/3

エンジニア採用が難しい7つの理由|突破する実践戦略ガイド

エンジニア採用が難しい構造的な理由を7つに整理し、採用成功企業の突破戦略を実践的に解説

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このページでわかること

  • エンジニア採用が難しい構造的な7つの理由と、それぞれの対処法

  • 有効求人倍率・IT人材不足の最新データに基づく市場の実態

  • 「採用がうまくいく企業」と「苦戦する企業」を分ける具体的な違い

  • 少人数チームでも実行できる、再現性のある採用突破戦略

  • techcellarが支援現場で見てきた、よくある失敗パターンとその回避法


TL;DR(この記事の要約)

  • エンジニアの有効求人倍率は約10倍。経済産業省は2030年に最大79万人のIT人材不足を予測しており、採用難は構造的な問題

  • 「難しい」の中身は7つに分解できる。母集団不足・スキルのミスマッチ・選考スピード・条件競争・情報の非対称性・面接体験・採用体制の問題

  • 「市場が厳しいから採れない」で終わらせず、自社がコントロールできる変数を特定して改善するのが突破の鍵

  • 特にスタートアップや中小企業は、スピード・候補者体験・技術的魅力の言語化の3点で大手と差をつけられる

  • 採用は「募集→応募→選考→内定」の一本道ではなく、マーケティング的なファネル設計で歩留まりを管理すべき


はじめに:「エンジニア採用が難しい」は本当か?

「エンジニアが採れない」——この言葉を聞かない日はない。

実際、IT・通信系エンジニアの有効求人倍率は約10倍前後で推移している(出典: doda転職求人倍率レポート 2026年上半期)。求職者1人に対して10社が獲得を争うという、極度の売り手市場だ。

しかし、すべての企業がエンジニア採用に苦戦しているわけではない。同じ市場環境にいながら、安定的にエンジニアを採用し続けている企業も存在する。

つまり「エンジニア採用が難しい」のは事実だが、難しさの正体を正確に把握し、対処している企業とそうでない企業で結果が大きく分かれている

この記事では、エンジニア採用が難しい理由を7つに分解し、それぞれに対する突破戦略を示す。「うちには無理」と諦める前に、まずは自社の課題がどこにあるかを特定してほしい。


Software Engineer Illustration

理由1:圧倒的な需給ギャップ — エンジニアの数が足りない

数字で見るIT人材不足

エンジニア採用が難しい最大の理由は、シンプルに「エンジニアの数が足りない」ことだ。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)によると、IT需要の伸びが中位シナリオで推移した場合、2030年には約45万人、高位シナリオでは最大約79万人のIT人材が不足すると予測されている(出典: 経済産業省 IT人材需給に関する調査)。

さらに、日本は少子高齢化が進行しており、IT関連産業への新規入職者数は2019年をピークに減少傾向にある。つまり、需要は増え続けるのに供給は減っていくという、構造的な問題だ。

なぜ特定の領域で顕著なのか

IT人材不足は全体的な問題だが、特に以下の領域で深刻だ。

  • AI・機械学習エンジニア: LLMの急速な普及で需要が爆発的に増加

  • SRE・インフラエンジニア: クラウドネイティブ化に伴い需要が拡大

  • セキュリティエンジニア: サイバー攻撃の高度化で企業の危機意識が高まっている

  • フルスタックエンジニア: スタートアップを中心に、少人数で広い範囲をカバーできる人材へのニーズが増加

「転職顕在層」だけを追うと負ける構造

もう一つ理解しておくべきなのは、転職市場に「今すぐ転職したい」と思って活動しているエンジニア(転職顕在層)は全体の2〜3割程度だということだ。残りの7〜8割は「良い話があれば聞いてみたい」程度の温度感の転職潜在層であり、ここにリーチできるかどうかが母集団の量を大きく左右する。

求人広告やエージェントだけに依存していると、顕在層の限られたパイを他社と奪い合うことになる。これが「求人を出しても応募が来ない」という状況の正体だ。

詳しくは「エンジニア転職潜在層へのアプローチ戦略」で解説しているが、潜在層へのリーチには技術コミュニティへの参加やSNSでの接点づくりなど、中長期的な取り組みが必要になる。

突破戦略

需給ギャップは個社の努力で解消できる問題ではない。しかし、以下のアプローチで「自社に振り向いてもらえる確率」を上げることは可能だ。

  • 転職潜在層へのアプローチ: 転職サイトに登録していない層にリーチするため、技術イベント・コミュニティSNSでの接点づくりを行う

  • 採用チャネルの多角化: ダイレクトスカウトリファラル・技術イベント・副業採用など、複数のチャネルを併用する

  • ターゲットの再定義: 「経験3年以上のバックエンドエンジニア」のような画一的な条件から、自社で本当に必要なスキルセットを再定義する

  • タレントプールの構築: 今すぐ採用に至らなくても、接点を持った候補者との関係を継続する。詳しくは「タレントプール構築・運用ガイド」を参照


理由2:スキル要件と市場のミスマッチ

「理想の候補者」が市場にいない問題

多くの企業が陥るのが、「自社が求めるスキルセットを持った人材が市場にほとんどいない」という状況だ。

これには2つのパターンがある。

パターン1: 要件が高すぎる

「React + TypeScript + Go + AWS + Kubernetes + 3年以上の実務経験 + マネジメント経験」——こんな求人票を見たことはないだろうか。すべてを満たす人材は市場にほぼ存在しない。仮にいたとしても、年収1,000万円以上のオファーを複数社から受けている可能性が高い。

パターン2: 技術スタックのニッチさ

自社で使っている技術が市場でマイナーな場合、そもそも経験者の母数が少ない。例えば特定のERPシステムのカスタマイズ経験や、レガシーなCOBOLの保守経験を求めるケースがこれに該当する。

「フルスタック×マネジメント×5年以上」の罠

要件が膨らみやすい原因の一つは、「過去に辞めた人の穴を完全に埋めたい」という心理だ。前任者が5年かけて身につけたスキルセットを、入社初日から持っている人を探そうとする。当然、見つからない。

もう一つの原因は、現場エンジニアと人事の間で「本当に必要なスキル」の認識がずれていることだ。現場は「全部できる人がほしい」と言い、人事はそれをそのまま求人票に書いてしまう。結果として、誰にも刺さらない求人が完成する。

突破戦略

  • Must / Want の明確な分離: 「絶対に必要なスキル」と「あれば嬉しいスキル」を分け、Mustは3つ以内に絞る。具体的な分け方は「採用ペルソナ設計ガイド」で詳しく解説している

  • ポテンシャル採用の検討: 隣接スキルを持つ人材を採用し、入社後にキャッチアップしてもらう。例えばRuby経験者にGo環境に移ってもらうなど。「ポテンシャル採用ガイド」も参考にしてほしい

  • 現場エンジニアとの要件すり合わせ: 採用要件は人事だけで決めず、実際に一緒に働くエンジニアと「本当に初日から必要なスキル」を議論する

  • 技術スタックの市場規模を確認する: 自社が使っている技術の経験者が市場にどれくらいいるのかを、各スカウトサービスの検索結果数で概算把握しておく


理由3:選考スピードの遅さ

エンジニアは「待ってくれない」

エンジニア採用において、選考スピードは想像以上に重要だ。優秀なエンジニアは複数社の選考を同時に進めていることが多く、最初に内定を出した企業が選ばれやすいという現実がある。

一般的に、エンジニアの転職活動期間は1〜2ヶ月程度。この間に3〜5社の選考を並行して進めるケースが多い。つまり、書類選考に1週間、一次面接の日程調整に1週間、二次面接まで2週間……と時間をかけていると、他社に先を越される。

よくある遅延ポイント

プロセス

よくある遅延

理想的なリードタイム

書類選考

3〜5営業日

1〜2営業日

一次面接の日程調整

1〜2週間

2〜3営業日

一次面接→二次面接

1〜2週間

3〜5営業日

最終面接→内定通知

1〜2週間

1〜3営業日

全体リードタイム

1〜2ヶ月

2〜3週間

選考の「待ち時間」が辞退を生む

選考途中で辞退するエンジニアの多くは、「遅い対応に不信感を覚えた」か「先に他社から内定が出た」のどちらかだ。特にスタートアップの選考では、書類選考の段階で経営層の承認が必要だったり、面接官の日程が合わなかったりと、社内調整がボトルネックになるケースが多い。

重要なのは、候補者の時間軸に合わせることだ。エンジニアは転職活動を「効率的に進めたい」と考えている。不必要に長い選考プロセスは、それだけで「この会社は意思決定が遅い」というシグナルになる。

選考リードタイムの短縮方法は「採用リードタイム短縮ガイド」で詳しく解説している。

突破戦略

  • 選考ステップの削減: 3回以上の面接は候補者の離脱リスクを高める。技術面接+最終面接の2ステップに圧縮できないか検討する。「選考フロー設計ガイド」も参照

  • 日程調整の即時対応: 候補者からの返信には24時間以内に対応する。カレンダーツールの活用で面接官の空き時間をリアルタイムに提示する

  • 権限の委譲: 一次面接官に「次のステップに進める」判断の権限を持たせ、面接直後に次回の案内ができるようにする

  • カジュアル面談の活用: 正式な選考前にカジュアル面談で相互理解を深めておけば、選考ステップ自体を短縮できる


File Analysis Illustration

理由4:報酬・条件の競争力不足

エンジニアの年収は年々上昇している

エンジニアの平均年収は年々上昇傾向にある。特にAI・データサイエンス領域やSRE領域では、年収1,000万円を超えるオファーも珍しくない。

スタートアップや中小企業が大手企業と同じ土俵で報酬競争をするのは現実的ではない。しかし、報酬だけでエンジニアが転職先を決めているわけでもない。

エンジニアが重視する条件(報酬以外)

多くのスカウトサービスで候補者と接してきた経験から、エンジニアが報酬以外で重視する条件は以下の通りだ。

  • 技術的なチャレンジ: 新しい技術に触れられるか、技術的に面白い課題があるか

  • 働き方の柔軟性: リモートワーク・フレックス制度・副業許可

  • 裁量の大きさ: 技術選定に関わる権限があるか

  • 成長環境: カンファレンス参加支援・書籍購入・学習時間の確保

  • チームの質: 一緒に働くエンジニアのレベルや文化

「報酬で負けている」と思ったときに考えるべきこと

報酬面で大手に勝てない場合でも、すぐに諦める必要はない。エンジニアの転職理由は報酬だけではない。実際、多くのエンジニアは「年収が100万円高い会社」よりも「技術的に面白い課題がある会社」を選ぶことがある。

ただし、市場相場から大きく乖離している場合は話が別だ。市場相場の8割を下回る報酬では、そもそも候補者の検討テーブルに載らない。「報酬以外の魅力で勝負する」ためには、最低限の報酬水準をクリアしていることが前提になる。

年収相場の詳細は「エンジニア年収相場2026」で言語・職種別のデータをまとめているので参考にしてほしい。

突破戦略

  • トータルコンペンセーションで勝負: 基本給だけでなく、SO(ストックオプション)・RSU・業績連動賞与・各種手当を含めた総報酬で提示する

  • 非金銭的な魅力の言語化: 「技術的に面白い課題」「フラットな組織」「裁量が大きい」といった魅力を、具体的なエピソードで語れるようにする。EVP設計ガイドを参考にしてほしい

  • 市場相場の定期的な把握: 年に1回は市場の報酬データを確認し、自社の水準が乖離していないかチェックする

  • 福利厚生の設計: 書籍購入費・カンファレンス参加費・リモートワーク手当など、エンジニアに刺さる福利厚生を設計する


理由5:求人・情報発信の質が低い

エンジニアに届かない求人票

「エンジニアからの応募が来ない」という企業の求人票を見ると、以下のような問題が見つかることが多い。

ありがちな問題点:

  • 技術スタックが書かれていない(「最新技術を使用」のような曖昧な表現)

  • 開発プロセスやチーム構成が不明

  • ビジネス課題ではなく社内事情が中心(「急成長に伴い増員」だけでは響かない)

  • 「アットホームな職場です」のような、エンジニアにとって無意味なアピール

エンジニアは求人票を「技術ドキュメント」のように読む。具体性がないと信用されない。

スカウトメールも同様

ダイレクトスカウトを活用していても、テンプレート感のあるメッセージでは返信率は上がらない。

「自社を知ってもらう」ための採用広報が弱い

求人票の質に加え、企業の技術的な情報発信の量と質も重要だ。エンジニアは応募前に企業の技術ブログ・GitHubリポジトリ・エンジニアのSNS投稿をチェックすることが多い。

これらの情報がまったくない場合、「技術的にどんな会社なのかわからない」という状態で応募することになる。不確実性が高いと、人は行動を避ける。つまり、情報を出していないこと自体が応募の障壁になっている。

採用広報の具体的な始め方は「テックブログで採用力を高める技術広報の始め方」で解説している。

突破戦略

  • 求人票に技術情報を盛り込む: 使用言語・フレームワーク・インフラ構成・開発手法・デプロイ頻度を具体的に記載する

  • 課題ベースの訴求: 「何を作っているか」だけでなく「どんな技術的課題を解決しようとしているか」を語る

  • スカウトメールの個別化: 候補者のGitHub・ブログ・登壇資料を確認し、具体的なポイントに言及する

  • テックブログ・技術発信: 開発チームの日常や技術的な意思決定を継続的に発信する

  • 採用ピッチ資料の作成: カジュアル面談や選考で使える、エンジニア向けの会社紹介資料を用意する


理由6:面接体験が候補者を遠ざけている

面接は「選ぶ場」ではなく「選ばれる場」

売り手市場においては、面接は企業が候補者を評価する場であると同時に、候補者が企業を評価する場でもある。この認識が欠けている企業は少なくない。

エンジニアが面接で感じるストレス

  • 技術がわからない面接官: エンジニア職の面接なのに、技術的な会話ができない人事担当者だけが対応する

  • 圧迫面接・上から目線の質問: 「なぜ今の会社を辞めるのですか?」を詰問調で聞く

  • 一方的な質問: 候補者からの逆質問の時間が短い、または形式的にしか対応しない

  • フィードバックの遅さ・不在: 面接後に何日も連絡がない、合否の理由が伝えられない

paizaの調査によると、企業側の対応が原因で選考辞退するエンジニアは少なくない(出典: paiza 面接でのポイント(4))。エンジニアが面接で最も重視するのは「現場のエンジニアと技術的な話ができるか」だ。

面接の「悪い口コミ」は想像以上に広まる

エンジニアのコミュニティは意外と狭い。面接で嫌な経験をしたエンジニアは、同僚や勉強会仲間にその体験を共有する。口コミサイトに書き込むケースもある。「あの会社の面接はひどかった」という評判が広まると、優秀な候補者がそもそも応募しなくなるという悪循環に陥る。

逆に、「面接が楽しかった」「不採用だったけど対応が丁寧だった」という評判は、長期的な採用ブランディングにつながる。面接は短期的な合否判定の場であると同時に、長期的な企業ブランドを形成する場でもある。

候補者体験の改善方法は「エンジニア採用CX改善ガイド」で体系的にまとめている。

突破戦略

  • エンジニアが面接に参加する体制を作る: 少なくとも技術面接には現場のエンジニアが同席する

  • 面接の双方向化: 候補者からの質問に十分な時間を確保し、開発チームのリアルな情報を伝える。逆質問対応ガイドも参考に

  • 面接官トレーニング: 面接官の質が候補者体験を左右する。評価基準の統一と面接スキルの向上を定期的に行う

  • 迅速なフィードバック: 面接後24時間以内に結果を連絡する。不採用の場合も丁寧なフィードバックを返すことで、企業の評判を守る


理由7:採用体制・リソースの不足

「ひとり人事」が抱える限界

スタートアップや中小企業では、人事担当者が1〜2名で採用から労務まですべてを担当しているケースが多い。エンジニア採用は専門性が高く工数もかかるため、リソース不足が採用成果に直結する。

よくある体制の問題

  • 採用にかける時間の絶対量が足りない: 母集団形成・スカウト・面接・フォローのすべてを1人で回すのは物理的に無理がある

  • 技術的な知識不足: エンジニアの職種やスキルの違いを理解できず、適切なスクリーニングができない

  • 採用データの未活用: 応募数・選考通過率・辞退率などのデータを取っておらず、改善サイクルが回らない

採用は「片手間」でうまくいく仕事ではない

エンジニア採用の難しさの根本にあるのは、「採用を片手間で回そうとしている」ことだ。人事担当者が採用以外の業務(労務・総務・経理)も兼務している状況では、スカウトメールを丁寧に書いたり、候補者のフォローを手厚く行ったりする時間がそもそもない。

かといって、すぐに採用専任者を増やすのも難しい。この「ニワトリと卵」の問題を解くのが、外部パートナーの活用だ。

ひとり人事のエンジニア採用完全ガイド」では、リソースが限られた状況での優先順位の付け方を解説している。また「採用代行(RPO)の選び方」も参照してほしい。

突破戦略

  • 現場エンジニアを採用チームに巻き込む: 面接だけでなく、求人要件の設計・候補者のスクリーニング・スカウト文の作成にも関与してもらう。スクラム採用の手法が参考になる

  • 採用代行(RPO)の活用: 母集団形成やスカウト運用など、工数がかかる部分を外部に委託する。techcellarのようなエンジニア採用に特化したパートナーを活用することで、専門知識と工数の両方を補える

  • 採用管理ツール(ATS)の導入: データの蓄積と可視化を仕組み化し、属人的な管理から脱却する

  • 採用KPIの設定と定期レビュー: 「応募数」「書類通過率」「面接通過率」「内定承諾率」の4つを最低限追跡し、ボトルネックを特定する


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採用がうまくいく企業の共通点

ここまで7つの理由を見てきたが、これらすべてを完璧に解決している企業はほぼ存在しない。重要なのは、自社にとって最もインパクトが大きい課題を特定し、優先的に改善することだ。

採用がうまくいっている企業に共通して見られる特徴を整理する。

1. 採用を「経営課題」として捉えている

採用がうまくいく企業は、経営層が採用にコミットしている。採用は人事部の仕事ではなく、事業成長に直結する経営課題だという認識がある。

具体的には以下のような行動に表れる。

  • 経営層が最終面接に必ず参加する

  • 採用計画が事業計画と連動している

  • 採用予算が適切に確保されている

2. 候補者を「選ぶ」のではなく「口説く」マインドがある

売り手市場では、企業側が候補者にアピールする姿勢が不可欠だ。選考の各ステップで、候補者に「この会社で働きたい」と思ってもらえるような体験設計ができている。

具体的には、面接の冒頭で自社の魅力をプレゼンする時間を設けたり、面接後に候補者の質問にチャット等で追加回答したり、オファー面談で個別のキャリアプランを提示したりしている。「選んでもらう」意識があるかどうかで、内定承諾率は大きく変わる。

3. データに基づいて改善サイクルを回している

「なんとなく採用がうまくいっていない」ではなく、どのステップで離脱が多いのか、なぜ辞退されるのかをデータで把握し、仮説を立てて改善している。

例えば「書類通過率が20%を下回っているなら、そもそもスカウト対象の絞り込みが甘い」「一次面接の辞退率が高いなら、日程調整のスピードに問題がある」など、数字から具体的な改善アクションを導ける状態にしている。

採用KPIの設計と運用方法を参考に、まずは基本的なデータの計測から始めてほしい。

4. 技術的な魅力を言語化できている

自社の技術的なチャレンジ、アーキテクチャの面白さ、エンジニアが成長できる環境を具体的に語れる。抽象的な「最先端技術を活用」ではなく、「大量のリアルタイムデータを処理するために○○のアーキテクチャを採用している」「レガシーシステムをモダンなマイクロサービスに移行するプロジェクトが進行中」のように、技術的にワクワクするポイントを具体的に伝えられる。

この「言語化」は人事だけではできない。現場エンジニアの協力が不可欠だ。採用ブランディング戦略で、技術的な魅力の発信方法を詳しく解説している。

5. 採用チャネルを複数持っている

求人広告だけ、エージェントだけ、という単一チャネルに依存せず、ダイレクトスカウト・リファラル・技術イベント・SNSなど複数のチャネルを使い分けている。

各チャネルの特性とコスト感については「エンジニア採用媒体の選び方」で13サービスを比較しているので、自社に合ったチャネルの組み合わせを検討してほしい。


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企業フェーズ別:優先すべき打ち手

7つの理由すべてに同時に対処するのは非現実的だ。企業のフェーズや規模によって、優先すべき打ち手は異なる。

シード〜アーリーステージ(社員10名以下)

最優先はスピードと経営者のコミット。選考プロセスを最短化し、創業者自らがスカウトメールを送り、カジュアル面談に出る。この段階では採用ブランドがほぼゼロなので、「誰がやっているか」「何を解こうとしているか」を1対1で熱量を持って伝えることが最大の武器になる。

リファラル(知人紹介)と副業エントリーが最もコスパの良いチャネルだ。フルコミットの正社員にこだわらず、まず業務委託で一緒に働いてから正社員転換するトライハイヤーも検討しよう。

シリーズA〜B(社員10〜50名)

この段階では採用の仕組み化が必要になる。属人的な採用から脱却し、採用KPIの計測・選考フローの標準化・面接評価シートの導入を進める。

ダイレクトスカウトを本格的に運用し始めるタイミングでもある。社内にスカウト運用のリソースがなければ、採用代行(RPO)の活用を検討する価値がある。

シリーズC以降・ミドルステージ(社員50名超)

採用チームの専門化と採用ブランディングへの投資が求められる。テクニカルリクルーターの採用、テックブログ・技術イベントの運営、採用マーケティングの実施など、中長期的な取り組みが競争力を生む。

また、インターンシップ新卒採用など、育成前提の採用チャネルを持つことで、中途採用だけに依存しないポートフォリオを構築できる。


エンジニア採用の難しさを乗り越える実行チェックリスト

自社の採用プロセスを点検するためのチェックリストを用意した。該当しない項目があれば、優先的に改善を検討してほしい。

母集団形成

  • 3つ以上の採用チャネルを活用している

  • 転職潜在層にアプローチする施策がある(技術イベント・SNS等)

  • 求人票に技術スタック・開発プロセス・チーム構成を明記している

選考プロセス

  • 書類選考から内定まで3週間以内で完了できる

  • 面接にエンジニアが参加している

  • 面接後24時間以内にフィードバックを返している

候補者体験

  • カジュアル面談の体制がある

  • 候補者からの逆質問に十分な時間を確保している

  • 不採用者にも丁寧な対応をしている

条件・魅力

  • 自社の報酬水準が市場相場と乖離していないか、年1回以上確認している

  • 報酬以外の魅力(技術的チャレンジ・働き方・成長環境)を言語化できている

  • オファー面談で候補者の懸念に個別対応している

体制・データ

  • 採用KPI(応募数・通過率・辞退率・承諾率)を定期的にレビューしている

  • 現場エンジニアが採用活動に関与している

  • 採用にかかるコスト(採用単価・工数)を把握している


FAQ(よくある質問)

Q1. エンジニア採用の有効求人倍率は実際どのくらいですか?

IT・通信系エンジニアの有効求人倍率は約10倍前後で推移しています(出典: doda転職求人倍率レポート 2026年上半期)。これは全職種平均の約5倍に相当し、1人のエンジニアに対して10社以上が採用を競っている状態です。

Q2. スタートアップが大手企業に勝てるポイントはありますか?

あります。スタートアップの強みはスピード・裁量・技術的チャレンジの3つです。大手企業は稟議や社内調整に時間がかかりがちですが、スタートアップは面接から内定まで1〜2週間で進められます。また、「自分の書いたコードが直接プロダクトに反映される」「技術選定に関われる」といった裁量の大きさは、多くのエンジニアにとって大きな魅力です。

Q3. ダイレクトスカウトの返信率が低いのですが、どう改善すればいいですか?

まず、テンプレートのコピー&ペーストをやめることが第一歩です。候補者のGitHub・ブログ・職務経歴を読み込み、「なぜあなたに声をかけたのか」を具体的に伝えましょう。techcellarの支援実績では、個別化したスカウトメールは一般的なテンプレートと比較して返信率が2倍以上になるケースが多く見られます。

Q4. エンジニア採用にかかるコストの目安は?

採用チャネルによって大きく異なります。一般的な目安は以下の通りです。求人広告は月額数万円〜数十万円、人材紹介は年収の30〜35%(成功報酬)、ダイレクトスカウトは月額数万円〜十数万円+成功報酬、リファラルは紹介報酬10〜50万円が相場です。1人あたりの採用コスト(CPA)の中央値は、エンジニア職で100〜200万円程度とされています。

Q5. 採用代行(RPO)を使うべきタイミングは?

以下のいずれかに当てはまるなら、RPOの活用を検討する価値があります。採用担当者が1〜2名で手が回っていない場合、スカウトメールを送る工数が確保できない場合、エンジニア職種の知識が社内に不足している場合、採用KPIの改善が停滞している場合です。RPOは「採用を丸投げする」ためではなく、「社内に採用ノウハウを蓄積しながらスケールする」ために使うのが効果的です。

Q6. リモートワークを導入していない場合、採用は不利ですか?

必ずしも不利とは限りませんが、選択肢が狭まることは事実です。多くのエンジニアがリモートワークやハイブリッドワークを希望しています。完全出社の場合は、その理由(チーム開発の密度、セキュリティ要件など)を明確に説明し、その分の魅力(通勤手当の充実、オフィス環境の質、対面のチーム文化)を打ち出すことが重要です。

Q7. 未経験エンジニアの採用は有効な戦略ですか?

ポジションと育成体制によっては有効です。ただし「安く採れるから」という理由で未経験者を採用するのはおすすめしません。プログラミングスクール卒業者やキャリアチェンジ組を採用する場合、最低3〜6ヶ月の育成期間と、メンター制度の整備が必要です。育成コストを含めたトータルコストで判断しましょう。詳しくは「プログラミングスクール卒エンジニアの採用と戦力化」を参照してください。

Q8. AI時代にエンジニアの採用基準は変わりますか?

変わりつつあります。GitHub CopilotやClaude Codeなどの生成AIツールが普及した結果、「コードを書く速度」よりも「何を作るべきかを判断する力」「AIの出力をレビュー・修正する力」「システム全体を設計する力」が重視されるようになっています。選考でもAIツールの利用を前提とした技術面接の再設計が求められています。


まとめ:「難しい」を因数分解して、一つずつ潰す

エンジニア採用が難しいのは事実だ。しかし、「難しい」の中身は7つの要因に分解できる。

  1. 需給ギャップ → 採用チャネルの多角化と転職潜在層へのアプローチ

  2. スキルミスマッチ → 要件の見直しとポテンシャル採用の検討

  3. 選考スピード → ステップの削減と権限委譲

  4. 報酬・条件 → トータルコンペンセーションと非金銭的魅力の訴求

  5. 情報発信の質 → 求人票の改善と技術発信の強化

  6. 面接体験 → エンジニア参加の面接設計と双方向コミュニケーション

  7. 採用体制 → 現場巻き込みとRPO活用

すべてを一度に解決しようとする必要はない。まずは自社のボトルネックがどこにあるかを特定し、最もインパクトの大きい1〜2つの課題から着手しよう。

techcellarでは、エンジニア採用に特化したスカウト運用代行・AIスカウト運用・採用AX(業務自動化)の3つのサービスで、採用の課題解決を支援しています。「エンジニアが採れない」という状況を変えたい方は、ぜひお気軽にご相談ください


この記事は2026年5月時点の情報に基づいています。市場動向や統計データは定期的に更新される可能性があります。

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