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Tips エンジニア採用のヒント

公開: 2026/6/12

SIer・受託開発企業のエンジニア採用戦略|選ばれる会社になる実践ガイド

SIer・受託開発企業がエンジニア採用で自社開発企業に勝つための戦略と実践手法を徹底解説

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SIer・受託開発企業のエンジニア採用戦略とは:「自社開発に勝てない」を前提にしない採用設計

SIer・受託開発企業のエンジニア採用戦略とは、「自社開発企業より不利」という思い込みを捨て、受託ならではの価値(多様な案件経験・大規模システム・顧客接点)を言語化して候補者に届ける活動です。「SIerは人気がない」と諦める必要はありません。実際には、転職市場でエンジニアが避けているのはSIerという業態そのものではなく、「技術投資をしない」「キャリアが見えない」「商流が深い」企業です。この構造を理解して採用設計を変えれば、受託開発企業でも十分に勝負できます。

筆者は採用コンサル営業出身の現役エンジニアで、人材業界でSIer・受託開発企業に採用サービスを売る側だった経験と、エンジニアとして採用される側の経験を両方持っています。営業時代に数多くの受託開発企業の採用現場を見てきた立場から、本記事ではSIer・受託開発企業がエンジニア採用で成果を出すための実務知見をまとめます。

TL;DR(この記事の要約)

  • SIer・受託開発企業のエンジニア採用は、「業態への偏見」と「情報発信不足」の掛け算で難易度が上がっている。業態そのものが敗因ではない

  • doda「転職求人倍率レポート」によると、IT・通信エンジニアの求人倍率は10.68倍(2026年データ)。待ちの採用では母集団は形成できない

  • 勝ち筋は3つ。(1)案件・技術スタックの透明化、(2)キャリアパスの言語化、(3)エンジニアが書いたスカウト・求人票

  • 「何でもやります」型の総合訴求は逆効果。得意領域を絞った専門性の打ち出しが応募率を左右する

  • 選考では自社開発企業と同じ土俵で競わない。顧客折衝力・複数ドメイン経験を評価できる独自の選考軸を設計する

  • 内定承諾と定着には単価・商流の透明性と還元ルールの明示が効く。受託だからこそ給与原資の説明がしやすい

このページでわかること

  • SIer・受託開発企業のエンジニア採用市場の現状と構造的な課題

  • エンジニアがSIer・受託を避ける本当の理由と、その誤解の解き方

  • 受託開発企業ならではの魅力を言語化するフレームワーク

  • 求人票・スカウト文面の具体的な改善ポイント

  • 自社開発企業と差別化する選考設計と評価基準

  • 内定承諾率と定着率を高める制度・環境づくり

1. SIer・受託開発企業のエンジニア採用市場の現状

Contract Illustration

SIer・受託開発企業を取り巻く採用市場は、需要過多と人材偏在が同時に進む特殊な構造にあります。案件は増え続けているのに、採用市場では自社開発企業・外資・スタートアップとの人材獲得競争に晒されており、「案件はあるのに人がいない」状態が常態化しています。

数字で見る採用環境の厳しさ

公的データを整理すると、受託開発企業が置かれた環境がはっきり見えてくる。

  1. IT人材の需給ギャップ:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年)によると、2030年にIT人材は最大約79万人不足すると試算されている

  2. 求人倍率の高止まり:doda「転職求人倍率レポート」(2026年3月)によると、エンジニア(IT・通信)の転職求人倍率は10.68倍。求職者1人に10件以上の求人がある超売り手市場が続く

  3. 人材の偏在構造:IPA「IT人材白書2017」によると、日本のIT人材の約72%はITベンダー企業側に在籍している。米国とは逆の構造で、SIer・受託開発企業は「最大の人材保有セクター」でありながら、互いに人材を奪い合う構図になっている

  4. DX需要の継続:IPA「DX動向2025」によると、DXを推進する人材が「不足している」と回答した日本企業は85.1%。ユーザー企業の内製化が進む一方、外部パートナーへの開発需要も衰えていない

「人材の流出元」になっているという現実

採用コンサル営業時代に受託開発企業を数多く担当して痛感したのは、SIer・受託は転職市場における「最大の供給源」になっているということだ。自社開発企業の中途採用要件には「SIer出身者歓迎」が並び、スカウト媒体ではSIer在籍エンジニアが集中的に狙われている。

つまりSIer・受託開発企業は、採用で勝つ前にまず「引き抜かれない」状態を作る必要がある。採用戦略とリテンション戦略を切り離して考えられない業態だと言える。この点は後半の章で具体策を解説する。

追い風もある:モダナイゼーション需要の拡大

悲観材料ばかりではない。経済産業省が「DXレポート」で警鐘を鳴らしたレガシーシステム刷新(いわゆる「2025年の崖」)への対応は現在も道半ばで、基幹システムの刷新・クラウド移行・AI導入支援といった大型案件は受託開発企業に集中している。ユーザー企業の内製化が進んでも、レガシー資産を読み解いてモダナイズできる外部パートナーの需要はむしろ高まっている

この需要は採用の訴求材料としても使える。「レガシー保守」ではなく「レガシーを刻んでモダンに作り替える側」というポジションは、技術的挑戦を求めるエンジニアに刺さる切り口だ。モダナイゼーション人材の獲得戦略はレガシー刷新エンジニア採用ガイドでも詳しく解説している。

2. エンジニアがSIer・受託を避ける5つの理由と誤解の構造

エンジニアが避けているのは「SIer」というラベルではなく、その裏に想起される具体的なリスクです。リスクの中身を分解すると、自社に当てはまらないものは打ち消せばよく、当てはまるものは経営課題として改善すればよいと整理できます。

筆者がエンジニアとして転職活動した際の実感と、採用支援の現場で聞いてきた候補者の声を整理すると、忌避理由は次の5つに集約される。

  1. 技術スタックが古いという先入観:「受託=レガシー保守」というイメージ。実際にはモダンな技術で新規開発する受託企業も多いが、発信していなければ候補者には伝わらない

  2. 商流の深さと働き方への不安:多重下請けの末端では裁量も単価も低くなる。候補者は「この会社は何次請けか」を強く気にするが、求人票にはまず書かれていない

  3. キャリアパスが見えない:案件ガチャ(配属される案件を選べない)への不安。どんな案件で何年後にどうなれるのかが説明されないと、不確実性を嫌うエンジニアは応募しない

  4. 給与水準と還元率の不透明さ:受託は単価ビジネスなのに、単価と給与の関係が説明されないことが多い。「搾取されているのでは」という疑念につながる

  5. 技術投資・学習環境の不足懸念:稼働率重視で勉強会・カンファレンス参加・新技術検証の時間がないのでは、という不安

重要なのは、5つすべてが「実態」ではなく「情報不足による推定」で判断されている点だ。候補者は最悪ケースを想定して応募を見送る。だからこそ、実態が悪くない企業ほど、透明化するだけで採用競争力が上がる。

自社の現在地を診断する

まず自社が「誤解されている企業」なのか「実態に課題がある企業」なのかを切り分けたい。次の3つの質問に即答できるかを確認してほしい。

  1. 自社案件のプライム比率(元請け比率)と平均商流を数字で言えるか

  2. 直近1年で採用したエンジニアが入社後に担当した案件と技術スタックを具体的に説明できるか

  3. **単価と給与の関係(還元の考え方)**を候補者に開示できるか

3つとも答えられるなら、課題は発信だけだ。答えられない・開示できないなら、採用活動の前に事業構造の改善が必要になる。詳しくはエンジニア採用が難しい7つの理由も参考にしてほしい。

3. 受託ならではの魅力を言語化する:採用戦略再設計の5ステップ

SIer・受託開発企業の採用戦略は、「自社開発企業の真似」ではなく「受託にしかない価値の言語化」から再設計すべきです。自社開発企業と同じ訴求(モダン技術・裁量・プロダクト愛)で戦えば、ブランド力で負けます。受託の構造的な強みを軸に据えることで、初めて差別化が成立します。

採用支援の実務で効果があった再設計の手順は次の5ステップだ。

  1. 得意領域を1つに絞る:「金融系基幹システムに強い」「製造業のIoTに強い」など、案件実績から専門性を抽出する。「Web・業務系・インフラ何でも対応」という総合訴求は、候補者から見ると「特徴がない」と同義

  2. 案件ポートフォリオを開示する:プライム比率、業界構成、技術スタック構成を採用ページに数字で載せる。商流が浅いことは受託企業最大の採用資産であり、隠す理由がない

  3. キャリアモデルを3パターン用意する:「技術を深めるスペシャリスト」「顧客と要件を作るコンサル型」「チームを率いるマネジメント」の3方向で、実在社員のキャリア事例を添えて提示する

  4. 還元ルールを明文化する:単価レンジと給与テーブルの関係、評価サイクル、昇給実績を説明可能にする。受託は売上と個人の貢献が紐づきやすく、給与の根拠を示しやすい業態だ

  5. エンジニアを採用広報に巻き込む:案件で得た技術知見をテックブログや登壇で発信する。守秘義務の範囲でも「どんな技術課題に取り組んでいるか」は十分発信できる

受託の構造的な強みは「経験の多様性」

エンジニアとして両方の立場を見てきた筆者の実感として、受託には自社開発にない明確な強みがある。短期間で複数のドメイン・技術・フェーズを経験できることだ。

自社開発企業では1つのプロダクトを深く触れる一方、技術スタックも事業ドメインも固定されやすい。受託では2〜3年で金融・製造・小売と異なる業界のシステムを経験でき、要件定義から運用まで全フェーズに関われる機会も多い。これは市場価値の観点で強力なキャリア資産になる。

この「経験の多様性」を、若手〜中堅エンジニアへの訴求軸として正面から打ち出すべきだ。採用ブランディングの体系的な進め方はエンジニア採用ブランディング完全ガイドで詳しく解説している。

AIツール導入は受託こそ採用の武器になる

もう1つ、いま受託開発企業が比較的低コストで作れる差別化要素が、AIコーディングツールの全社導入だ。「受託=古い開発環境」という先入観が強い分、Claude CodeやCursorなどのAIツールを業務で使える環境は、自社開発企業以上に意外性のある訴求として機能する

採用支援の現場でも、求人票に「AIコーディングツール利用可(ライセンス会社負担)」と明記しただけでスカウト返信の話題に上がるケースを見てきた。顧客との契約上の制約がある案件でも、社内開発・検証環境での利用方針を整理して開示すれば訴求材料になる。

4. 求人票・スカウトの書き方:受託企業がやりがちな失敗と改善

受託開発企業の求人票・スカウトで最も多い失敗は、「会社の説明」に終始して「入社後に触る案件と技術」を書かないことです。候補者が知りたいのは事業内容の網羅的な説明ではなく、「自分が何を作り、何を得られるか」です。案件情報の解像度を上げるだけで、応募率・返信率は目に見えて変わります。

求人票で必ず書くべき項目

採用支援の現場で求人票を添削してきた経験から、受託開発企業の求人票に必須の項目を挙げる。

  1. 代表的な案件例を2〜3件:業界・規模・体制・自社の役割(プライム/2次)・技術スタックをセットで記載する

  2. 商流とポジションの明示:「プライム案件比率70%」のように数字で書く。書けない場合でも「直請け中心」「エンド直」など実態を示す

  3. 配属決定の仕組み:案件アサインがどう決まるか、本人の希望がどの程度反映されるかを説明する。「案件ガチャ」不安への直接の回答になる

  4. 稼働の実態:平均残業時間・リモート比率・客先常駐の有無と割合。受託=常駐と思い込んでいる候補者は多く、持ち帰り開発中心ならそれだけで差別化になる

  5. 技術環境と学習支援:開発環境、AIコーディングツールの利用可否、資格・書籍・カンファレンス支援

求人票の基本構造から見直したい場合はエンジニアが応募したくなる求人票の書き方完全ガイドを参照してほしい。

スカウト文面は「案件」を主語にする

スカウトでは会社紹介を削り、具体的な案件を主語にするのが鉄則だ。「弊社は設立30年の信頼あるSIerで〜」という書き出しは読まれない。「製造業向けに、レガシー基幹システムをマイクロサービスへ刻むプライム案件で設計をリードできる方を探しています」のように、1通目から案件の解像度で勝負する

改善前後のイメージを示す。

改善前:「弊社は設立30年、大手企業との取引実績多数の総合システム開発企業です。あなたのご経歴を拝見し、ぜひ一度お話ししたいと思いご連絡しました」

改善後:「○○様のRailsでの決済システム開発経験を拝見しました。現在、大手小売のECリプレイス(プライム案件・持ち帰り開発)で、決済まわりの設計を任せられる方を探しています。技術選定から関われるフェーズです」

改善後は、候補者の経験への言及・案件の具体性・商流・任せる役割が1段落に収まっている。候補者のレジュメにある経験と案件の接続を1〜2文で示せれば、受託のスカウトは自社開発より具体性で勝てる。返信率を体系的に改善したい場合はエンジニアスカウトの返信率改善ガイドが参考になる。

5. 選考設計:自社開発企業と同じ土俵で競わない

SIer・受託開発企業の選考は、自社開発企業の選考基準をコピーするのではなく、受託で成果を出す能力を独自に定義して評価すべきです。アルゴリズムテストの点数だけで絞り込むと、受託の現場で最も価値を発揮する人材を落とすことになります。

受託で活きる能力の評価軸

受託開発で成果を出すエンジニアの要件は、自社開発と重なる部分と異なる部分がある。選考で評価すべき受託固有の軸は次の3つだ。

  1. 顧客折衝・要件の言語化能力:曖昧な要望を仕様に落とす力。面接では「顧客の要望が技術的に筋が悪いとき、どう対応したか」のような行動ベースの質問で確認する

  2. キャッチアップ速度:新しいドメイン・コードベースに入る速さ。過去案件で「参画から戦力化までに何をしたか」を深掘りする

  3. 制約下での品質判断:納期・予算の制約の中で品質をどう担保するかの判断力。「間に合わないと分かったとき何を削るか」という問いは思考プロセスがよく見える

これらは構造化面接として設計すると評価のブレが減る。設計手法は構造化面接設計ガイドを参照してほしい。

選考スピードを武器にする

大手SIerとの比較で中堅受託企業が確実に勝てるのが選考スピードだ。求人倍率10倍超の市場では、優秀な候補者ほど複数社を並行しており、選考リードタイムの差がそのまま辞退率の差になる。カジュアル面談から内定まで2週間以内を目標に、面接回数の圧縮と日程調整の自動化を進めたい。

また、SES・受託出身の候補者を見極める観点はSES出身エンジニアの採用と見極め方で詳しく解説しているので、書類選考の精度を上げたい場合は併せて確認してほしい。

6. 内定承諾と定着:単価の透明性が最大の武器になる

内定承諾率と定着率を高める最大のレバーは、受託ビジネスの構造をオープンにすることです。単価・商流・還元ルールを説明できる企業は、候補者の「搾取されるのでは」という最大の不安を根本から消せます。これは自社開発企業には真似できない、受託固有の信頼構築手段です。

オファー面談で開示すべき3点セット

採用支援の実務で承諾率が改善した企業に共通していたのは、オファー面談で次の3点を開示していたことだ。

  1. 単価と給与の関係:個人単価がどうレンジ化され、給与にどう反映されるかの考え方

  2. 昇給の実績データ:直近2〜3年の平均昇給額・昇給率と、グレードが上がった社員の実例

  3. 案件アサインの約束範囲:入社後最初の案件の確定情報、または決定プロセスとタイミング

提示条件の設計に課題がある場合はエンジニア採用で勝つための報酬設計ガイドも参考になる。

「引き抜かれない組織」をつくる定着施策

第1章で述べたとおり、SIer・受託在籍のエンジニアはスカウト媒体で集中的に狙われている。採用と同時に取り組むべき定着施策は次の3つだ。

  1. 案件希望のヒアリングサイクル:半期ごとに案件希望・キャリア希望を聞き、アサインに反映する仕組みを作る。「会社都合のアサインが続く」が受託の離職理由の筆頭であり、ここに直接効く

  2. 技術投資の見える化:稼働率目標に学習時間を織り込む。週数時間でも「会社として学習を業務と認める」姿勢が伝わるかどうかで、技術志向の社員の定着は大きく変わる

  3. 社内コミュニティの維持:常駐や複数案件で社員が分散しやすい業態こそ、社内勉強会・月次の技術共有会など「帰属する場」を意図的に設計する

定着施策の全体像はエンジニアの定着率を高めるリテンション実践ガイドで体系的に解説している。

7. 採用チャネル戦略:受託開発企業に合う媒体の選び方

受託開発企業のチャネル戦略は、「転職顕在層への求人広告」一辺倒から「スカウト+リファラル+発信」の組み合わせへ移行すべきです。業態への先入観がある分、求人広告で待つ採用は不利になりやすく、こちらから誤解を解きに行くプッシュ型のほうが構造的に向いています。

チャネルごとの相性を整理すると次のようになる。

  1. ダイレクトスカウト媒体:最優先。案件の具体性で勝負できる受託と相性がよい。SIer出身者が多く登録する総合系(BizReach・doda系)と、技術志向層が集まるエンジニア特化系(Forkwell・LAPRAS・Findy等)を目的別に使い分ける

  2. リファラル採用:受託は社員の前職・案件先ネットワークが広く、紹介の母数を作りやすい。制度設計すれば最も費用対効果が高いチャネルになる

  3. テックブログ・登壇:「技術投資をしている受託」の証明として機能する。応募の直接経路というより、スカウト返信率と内定承諾率を底上げする間接チャネルとして位置づける

  4. 人材紹介:単価は高いが、業態理解のあるエージェントを選べば「受託の魅力を翻訳して伝える」役割を担ってくれる

媒体ごとの特徴比較はエンジニア採用媒体の選び方|13サービス使って分かった最適解で詳しく解説している。

FAQ:SIer・受託開発企業のエンジニア採用でよくある質問

Q1. 「SIerは人気がない」と言われますが、本当に採用で勝てるのでしょうか?

勝てます。エンジニアが避けているのはSIerという業態ではなく、「技術投資がない」「商流が深い」「キャリアが見えない」という個別リスクです。プライム比率・技術スタック・キャリアモデルを開示し、案件の解像度で訴求すれば、業態への先入観は十分に覆せます。実態に課題がある場合は、採用より先に商流改善・技術投資が必要です。

Q2. 自社開発企業と比べて給与で勝てない場合、どう戦えばよいですか?

給与の絶対額ではなく「根拠の透明性」と「経験の多様性」で戦います。単価と給与の関係や昇給実績を開示すれば、提示額が同水準でも信頼度で差がつきます。また、複数業界・複数フェーズを経験できるキャリア資産としての価値は、固定プロダクトの自社開発にはない訴求点です。

Q3. 客先常駐がある場合、求人票でどう扱うべきですか?

隠さず、割合と条件を数字で書くべきです。「常駐あり」とだけ書くと候補者は最悪ケース(フル常駐・単独参画)を想定します。「持ち帰り開発70%、常駐はチーム単位のみ」のように実態を具体化すれば、不安は大幅に減ります。曖昧にして入社後に発覚すると早期離職に直結します。

Q4. 採用しても自社開発企業に転職されてしまいます。どうすればよいですか?

「案件アサインへの希望反映」と「技術投資の見える化」が最も効きます。受託の離職理由の筆頭は会社都合のアサインが続くことです。半期ごとのキャリア面談でアサインに希望を反映し、学習時間を業務として認める姿勢を示すことで、転職検討の主要因を潰せます。エグジットインタビューで自社固有の離職理由を特定することも重要です。

Q5. 小規模な受託開発企業でも、スカウト採用はできますか?

できます。スカウトは企業の知名度より文面の具体性で返信率が決まるため、小規模企業こそ相性のよいチャネルです。代表やリードエンジニアが自分の言葉で案件と技術課題を書いたスカウトは、大手の定型文より返信されます。週に送れる通数が限られる場合は、要件に合う候補者を絞り込み、1通あたりの質を最大化する運用が向いています。

Q6. 採用ブランディングに割く予算も人手もありません。何から始めるべきですか?

最初の一歩は「すでにある情報の開示」です。プライム比率・案件例・技術スタック・残業実態を採用ページと求人票に数字で載せるだけなら、コストはほぼかかりません。次の一歩は、エンジニア1人に月1本のテックブログ執筆を業務として依頼することです。凝った施策より、不安を打ち消す情報の透明化が先です。

まとめ:透明化こそがSIer・受託のエンジニア採用を変える

SIer・受託開発企業のエンジニア採用戦略のポイントを整理する。

  1. エンジニアが避けているのは業態ではなく個別リスク(技術・商流・キャリア・還元・学習環境)。情報の透明化だけで打ち消せる誤解が多い

  2. 勝ち筋は得意領域の絞り込み・案件ポートフォリオの開示・キャリアモデルの提示・還元ルールの明文化・エンジニアの発信の5ステップ

  3. 求人票・スカウトは案件を主語にして解像度で勝負する

  4. 選考は顧客折衝力・キャッチアップ速度・制約下の品質判断という受託固有の軸で設計し、スピードで大手に勝つ

  5. 採用と定着は不可分。単価の透明性とアサイン希望の反映が承諾率と定着率の両方を引き上げる

受託開発企業の採用は、構造を理解して透明化に踏み切った企業から順に楽になっていきます。とはいえ、スカウト媒体の選定・文面設計・運用改善を社内リソースだけで回すのは簡単ではありません。

techcellarでは、現役エンジニアが13サービス以上のスカウト媒体運用経験をもとに、SIer・受託開発企業を含むエンジニア採用のスカウト運用代行・採用業務の自動化を支援しています。自社の採用課題がどこにあるか診断したい方は、techcellarのサービスページからお気軽にご相談ください。

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岩佐 直樹techcellar 運営者

現役エンジニアでありながら、スタートアップのエンジニア採用支援を行う。採用コンサル営業として採用を売る側の経験と、エンジニアとして採用される側の経験を併せ持つ。13以上のダイレクトスカウトサービスの運用経験をもとに、AI×採用の実践ノウハウを発信。

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